1994 Fiscal Year Annual Research Report
リンパ球の薬剤感受性にもとづく腎移植患者の合理的免疫抑制剤投与法の開発
Project/Area Number |
05671029
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Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
小崎 正巳 東京医科大学, 医学部, 教授 (30096309)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平野 俊彦 東京薬科大学, 臨床薬理学, 助教授 (90173252)
吉田 雅治 東京医科大学, 医学部, 講師 (60146537)
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Keywords | 腎移植患者 / 免疫抑制剤投与法 / グルココルチコイド / リンパ球感受性 / 急性拒絶反応 |
Research Abstract |
今年度は、平成5年度の研究で確立したリンパ球の薬剤感受性検査法(ID_<50>値)を用いて、腎移植患者のglucocorticoid感受性を検索し、以下の項目について検討した。1)PSL-ID_<50>値によるsteroid抵抗性拒絶反応の予知について:腎移植後3カ月以内に急性拒絶反応を発生した21例について、PSL-ID_<50>値とmethylprednisolone(MPSL)によるpulsetherapyとの関係をみると、有効群10例と無効群11例の間には、レシピエントの年令、グラフトの種類(生体腎と死体腎の数)、術前輸血を受けた症例数、免疫抑制法、HLA-ABおよびDRの不適合数等には差を認めなかったが、PSL-ID_<50>値は、有効群では22.2±23.4ng/ml、無効群では623.2±516.3ng/mlで、無効群に有意に高かった(P<0.001)。無効群では、MPSL pulsetherapyに引き続いて、ALG、OKP-3、15-deoxyspergualin等の抗拒絶剤を投与したところ、11例中9例に有効であった。なお無効群のPSL-ID_<50>値は76〜1000ng/mlであったことからPSL-ID_<50>値が50ng/ml以上を示す症例は、いわゆるステロイド抵抗性拒絶反応であり、当初からMPSLを使用せずに他の抗拒絶剤を用いた方がよいことが示唆された。2)腎移植における至適ステロイド剤の選択:prednisolone(PSL)治療症例28例とMPSL治療症例15例[併用薬は共にciclosporin(CsA)]について、移植後3カ月間のS-Cr、BUN、尿量、薬物投与量、移植腎摘出症例数等を両群間で比較検討した。なおPSLは60mg/日よりMPSLは48mg/日より、開始し、CsAは両群とも10〜12mg/kg/日より開始した。その結果、生体腎移植症例では、MPSL群の方がPSL群よりもS-Cr値が有意に低かった(P<0.05)。また死体腎移植症例でも、MPSL群(8例)は腎摘出例はなかったが、PSL群(21例)では3例が腎摘出に至った。これらの結果から、腎移植の免疫抑制剤としてPSLよりMPSLの方が優れていることが示唆された。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Toshihiko Hirano: "Clinical significance of glucocorticoid pharmacodynamics assessed by antilymphocyte action in kidney transplantation" Transplantation. 57. 1341-1348 (1994)
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[Publications] 平野 俊彦: "慢性腎不全患者における末梢血リンパ球のグルココルチコイド感受性" Organ Biology.1. 61-69 (1994)