1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05671033
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Research Institution | Aichi Medical University |
Principal Investigator |
土岡 弘通 愛知医科大学, 医学部, 教授 (80065523)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三枝 裕幸 愛知医科大学, 医学部, 講師 (10195969)
永田 昌久 愛知医科大学, 医学部, 助教授 (50097797)
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Keywords | 高ビリルビン血症 / 光療法 / ブラッドアクセス / 成人 |
Research Abstract |
肝臓は生命維持に不可欠な物質や毒性物質の解毒と排泄等に携わる複雑な機能を有する臓器である。広範な肝細胞壊死によってもたらされる急性肝不全は、きわめて複雑な病態生理を呈し、致命的である。現在までに血液透析、濾過法、吸着剤を用いた血液もしくは血漿潅流法、血漿交換法等が開発され臨床応用されているが現状ではこれらの方法を組み合わせて治療を行っている。本研究は、これらの肝不全の治療方法の一つに新たに加えられると期待される治療法の研究である。すなわち、ビリルビンは光エネルギーが加わると、分子内水素結合が切れ、デルタ4、デルタ15位で回転が起こり立体異性体ができる。このフォトビリルビン(EZ,ZE-ビリルビン)は、水溶性で肝または腎のクリアランスの効率がよく、胆汁中または尿中に排泄されやすいと言われる。本研究では、上の機序を利用し、その効率を高めるため直接血液に光を照射し、肝不全の病態の中でも最も問題になる高ビリルビン血症を治療せんとする研究である。本研究では黄疸豚を用いた。照射効率を高める目的で、光線を直接血液に照射するため、抗血栓性チューブを用いて抹消動-静脈間に外シャントを作成し、特定の波長(510nm)の光線をこの外シャント内血液に照射した。効果、合併症の判定は、血清ビリルビン値(抱合、非抱合)、各種肝胆道系酵素、胆汁酸パターン等の血清学的パターンの変動について検討した。平成5年度までの動物実験の結果では、ビリルビン減少効果は良好であり、臨床応用を試みる上で充分な効果を期待できると思われた。また長時間照射の影響をみるため、42時間の連続照射を行ない、血小板数を含めた各種凝固線溶系、肝逸脱酵素、血清アンモニア等を検索したが、なんらの合併症も認めず、光線療法の安全性を確認し得た。また、十二指腸癌による閉塞性黄疸症例や、多臓器不全による急性腎不全合併の高ビリルビン血症例にたいし臨床応用を試みたがビリルビン変動について興味ある差異がみられた。今後の研究がさらに望まれると思われる。
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