1993 Fiscal Year Annual Research Report
自然発症慢性膵炎動物を用いた慢性膵炎治療薬剤の効果判定に関する研究
Project/Area Number |
05671044
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
杉山 政則 帝京大学, 医学部, 講師 (20192825)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
仲 秀司 帝京大学, 医学部, 助手 (60256063)
永嶌 嘉嗣 帝京大学, 医学部, 講師 (80198324)
小沢 邦寿 帝京大学, 医学部, 助教授 (90192054)
和田 信昭 帝京大学, 医学部, 教授 (80092386)
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Keywords | 慢性膵炎 / 膵外分泌機能 / 慢性膵炎治療薬剤 / 動物モデル |
Research Abstract |
WBN/Kobラットは3カ月齢以降、膵の線維化・実質脱落が進行し、ヒトの慢性膵炎に類似した組織像を呈し、自然発症慢性膵炎モデルとして有用である。膵管造影では膵管の屈曲・蛇行を示す。また意識下膵液採取実験では基礎時およびCCK-8刺激時の膵外分泌機能は膵液量・重炭酸塩排出量・蛋白排出量とも正常対照ラットに比べ著明に低下していることを報告してきた。 今年度の研究では、慢性膵炎に対するプロテアーゼ・インヒビター長期経口投与の効果を検討するために、2カ月齢(膵組織に明らかな変化を認めない時期)の雄性のWBN/KobラットにCamostat mesilate30mg/kg/日を経口投与し、3、4カ月齢時(Camostat投与開始1、2月後)に膵組織像・膵管像・膵外分泌機能を検索した。膵外分泌機能は膵外瘻・胆管十二指腸瘻を造設後、意識下に基礎時・CCK-8刺激時の膵液を採取し、膵液量・重炭酸塩排出量・蛋白排出量を求めた。Camostat投与1、2月後の膵組織には線維化・実質脱落を認めず、腺房細胞の肥大を認めた。膵管像には異常を認めなかった。Camostat投与後1、2月後の膵外分泌機能は無処置のWBN/Kobラットと比べ、基礎時およびCCK-8刺激時において有意に亢進し、正常対照ラットのレベルに回復した。以上からプロテアーゼ・インヒビター経口投与は慢性膵炎発症に対する予防的効果を有することが示された。 現在6カ月齢(慢性膵炎発症後)のWBN/KobラットにCamostatを経口投与し、プロテアーゼ・インヒビター経口投与の慢性膵炎に対する治療的効果を検討している。
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