1993 Fiscal Year Annual Research Report
レーザー分光による癌細胞遺伝子変異の検出及びその治療的応用
Project/Area Number |
05671045
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
名川 弘一 東京大学, 医学部(病), 講師 (80228064)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北山 丈二 東京大学, 医学部(病), 医員
小林 孝嘉 東京大学, 理学部, 助教授 (60087509)
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Keywords | レーザー分光 / 培養細胞 / 癌細胞 / 吸収スペクトル / 発光スペクトル / 赤外分光法 |
Research Abstract |
本年度の研究計画としては、正常および癌の培養細胞について、これをレーザー分光学的手法により、それぞれの細胞構造、ひいては分子構造レベルでの違いを解析するのが目標であった。 正常細胞として線維芽細胞(NIH3T3 細胞)、癌細胞としては、前記のNIH3T3 細胞に発癌遺伝子を組み込んだ細胞(Ret II,a1-1)を用いて、それぞれの細胞についての吸収スペクトル、および発光スペクトルを測定した。 まず、可視域における吸収、発光スペクトルにおいては、正常および癌細胞の間で、明らかな差異が得られなかった。ただし、細胞に特徴的な吸収、発光スペクトルは得られているので、これをさらに解析し、細胞構造などの知見を得ることは可能であろうと思われ、今後の課題とするところである。同様に紫外領域の吸収、発光スペクトルについても、両者の細胞に特徴的な吸収、発光スペクトルが得られたが、明らかな差異は見いだせなかった。 現在は、フーリエ変換赤外分光器を用いた赤外領域の吸収スペクトルを測定しており、これによって細胞の分子構造レベルでの差異を解析しているところである。 培養細胞という生命体を分光学的に測定するという試みは、いままであまり行われておらず、特に標準的な手法がないため、まず測定法から考える必要があったが、実験開始当初は、誤差の少ない効果的な測定を行うために試行錯誤の連続であった。分子レベルの差異を解析するためにもより正確な測定法を樹立させる必要があり、これも今後の課題の一つである。
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