1993 Fiscal Year Annual Research Report
上部消化器癌の生物学的、悪性度の術前評価に関する基礎的・臨床的研究
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05671076
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
愛甲 孝 鹿児島大学, 医学部, 助教授 (60117471)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
馬場 政道 鹿児島大学, 医学部・附属病院, 助手 (60198950)
田辺 元 鹿児島大学, 医学部・附属病院, 助手 (60207157)
夏越 祥次 鹿児島大学, 医学部・附属病院, 助手 (70237577)
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Keywords | 消化器癌 / 悪性度 / 転移 / 接着因子 / デスモソーム |
Research Abstract |
食道癌における正常細胞、異型細胞および癌細胞のデスモソームの変化について電子顕微鏡的に検討した結果、癌細胞では有意にデスモソームの数の減少が認められた。この変化をさらに広範囲に観察するために施行したデスモソームに対する抗体(デスモグレイン1)を用いた免疫組織学的検討では、個々の症例の癌巣で多様性が認められた。すなわちデスモグレイン1の発現が正常上皮と同等なもの、減弱するもの、発現のみられないものに大別された。これを病理組織学的因子と対比検討すると、分化型癌ではデスモグレイン1の発現が認められる場合が多く、低分化型癌では減弱ないしは発現がみられない場合がほとんどであつた。また減弱するものや発現のないものは発現が強いものに比べリンパ節転移は明らかに高頻度であつた。したがってデスモソームによる接着性の低下は明らかに転移を引き起こす一因であると考えられた。胃癌症例において、糖鎖抗原(Sialy-Tn)、各種遺伝子(p53、C-erbB-2)などと比較検討した結果、デスモグレイン1は他に比べリンパ節転移との関連性が有意に高く認められた。またリンパ節転移巣ではデスモグレイン1の発現が主病巣より減弱する傾向が認められている。現在生検材料を集積中であり、術前診断の応用への可能性について検討中である。またムチンに対するDF3の食道癌における発現を検討中であるが、浸潤が高度になるにしたがってその発現が増強するという興味深い結果が得られてきている。
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[Publications] Takashi Aikou: "A Comparative Study on Fine Stricjure of Inflammatory and Neoplastic Dysplasia of the Esoplragus" Med.Electron Microsc.26. 1-9 (1993)
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[Publications] Takashi Aikou: "A Precancerous lesion of the esophagus-domparative studies on Atypical Eplcheliuiv and cartinoma in situ to the Escphagus" J.Clin.Eletron Microscopy. 24. 414-415 (1992)
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[Publications] Tkashi Aikou: "Significance of Lymph Nodal Metastasis in treatment of Esophagogastric Adeuocarcinoina" Lymphology. 25. 31-36 (1992)
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[Publications] 夏越,祥次: "食道浸潤胃癌の縦隔内進展と大動脈周囲リンパ節転移の術前診断の実態および手術方針" 手術. 46. 1117-1123 (1992)
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[Publications] 馬場,政道: "胸部食道癌の頸部・上縦隔リンパ節郭清-リンパ穴からみた合理的な郭清-" 手術. 46. 627-637 (1992)
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[Publications] 島田,麻里緒: "食道癌におけるデスモソームとリンパ節転移の関連性" 日本外科学会雑誌. 93. 1353- (1992)
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[Publications] Shoji Natsugoe: "Recent Advances in Disease of the Esophagus" K.Nabeya,T.Hanaoka,H.Nogami(Eds.)by Springer-Verlag Tokyo, 5 (1993)
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[Publications] Aikou Takashi: "Recent Advances in Disease of the Esophagus" K.Nabeya,T.Hanaoka,H.Nogami(Eds.)by Springer-Verlag Tokyo, 6 (1993)