1993 Fiscal Year Annual Research Report
局所化学療法による消化器癌の肝転移防止の実験的研究
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05671096
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Research Institution | St. Marianna University School of Medicine |
Principal Investigator |
山村 卓也 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 講師 (90114701)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
瀬尾 圭亮 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 助手 (00247363)
赤石 治 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 助手 (30231799)
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Keywords | 消化器癌 / 肝転移 / 持続門脈内注入療法 / アドリアマイシン / 5FU / 薬物動態 |
Research Abstract |
今年度は2つの実験を遂行した。1つは家兎の門脈にVX2腫瘍細胞を移植し肝転移を作成した後にアドリアマイシンの持続門脈内注入を行い肝転移の抑制効果をみた実験である。この実験では治療開始を遅らせたときの影響、移植細胞数を変えたときに抑制効果がどう変わるか、アドリアマイシンの濃度の違いによる効果の違いを検討し、さらに肝、腎臓、心などにおけるアドリアマイシンの組織内濃度についても調べた。その結果、持続門脈内注入を移植3日目に開始した場合でも肝転移を抑制するが、移植直後から治療をはじめたほうが抑制効果が高かった。移植腫瘍の細胞数の多寡についての実験では細胞数が少ないときは本法により肝転移を完全に防止することが可能であった。また投与したアドリアマイシンの濃度が高いほど転移抑制効果が高かった。したがって門脈に流入する腫瘍細胞が少なく、高濃度の薬剤を転移形成の初期から投与すれば持続門脈内注入療法により肝転移を完全に抑制することが可能であることが示唆された。またアドリアマイシンの組織内濃度については各臓器の間に差はみられなかった。2つめの実験は消化器癌の化学療法に主に使われる5FUの持続門脈注入による薬物動態の研究である。これは家兎に5FUを持続門注、ワンショット門注、持続静注、ワンショット静注投与し、血中、組織中の5FUの薬物動態を検討する実験である。経時的に門脈および末梢静脈中の5FU濃度を測定し、経時的に肝、小腸を採取し組織内の5FUおよびその代謝産物であるFdUMP濃度を測定した。さらにThymidylate Synthetaseを測定しTS阻害率を算出した。その結果、持続門脈内注入による投与法で門脈内5FU濃度、肝組織のFdUMP濃度が最も高いことがわかり、本法の有用性が薬理動態の面から明らかになった。
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[Publications] 山村 卓也: "肝転移予防における持続門注療法の有効性についての実験的検討" 癌と化学療法. 18. 1889-1893 (1991)
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[Publications] Takuya YAMAMURA: "Continuous intraportal chemotherapy for prevention of liver metastases" Regional Cancer Treatment. 5. 17-21 (1992)
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[Publications] 山村 卓也: "抗癌剤の持続門注療法による肝転移予防の実験的検討" 日本癌治療学会誌. 28. 1761-1769 (1993)
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[Publications] 花井 彰: "5FU持続門脈内注入における薬物動態" 癌と化学療法. 19. 1536-1539 (1992)
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[Publications] 花井 彰: "肝転移予防の肝局所療法としての5FU持続門脈内注入の利点と薬物動態学的解析" 聖マリアンナ医科大学雑誌. 20. 663-676 (1992)