1995 Fiscal Year Annual Research Report
局所化学療法による消化器癌の肝転移防止の実験的研究
Project/Area Number |
05671096
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Research Institution | St.Marianna University |
Principal Investigator |
山村 卓也 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 助教授 (90114701)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
瀬尾 圭亮 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 助手 (00247363)
赤石 治 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 助手 (30231799)
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Keywords | 消化器癌 / 肝転移 / 持続門注療法 / 5FU / 癌抑制遺伝子 |
Research Abstract |
5FUの持続門脈内投与は消化器癌切除後の肝転移を予防する有力な手段であることを実験的、臨床的に検討してきた。いっぽう5FUの効果を増強するロイコボリンとの併用療法を持続門注療法に臨床応用することを検討してきたが、その薬理動態については不明な点が多い。そこでロイコボリンを併用した5FUの門脈内投与における薬理動態を検討する予定であったが、ロイコボリンが大腸癌の治療に保険適応となっていない現状では臨床応用が困難であるとの観点から、今回はこの実験計画を中止し変更した。そこで今年度は持続門注療法の有効、無効の原因を検討することとした。近年癌の発生および増殖について遺伝子レヴェルで解析されているが、我々は肝転移に関係が深いといわれている癌関連遺伝子が抗癌剤の効果発現にどれだけ関わっているかを検討することが肝転移の防止に有用であると判断した。その手がかりとして癌抑制遺伝子であるP53およびnm23の過剰発現と肝転移との関係を免疫組織学的に検討した。その結果大腸癌の原発巣でも肝転移巣でも両遺伝子の過剰発現が同じように認められ、肝転移の成立に両遺伝子の発現がつよく関わっていることが示唆された。特にP53遺伝子についてはその過剰発現が肝転移症例では無再発例に比べ有意に高率に起こっていることが明らかとなり、本遺伝子が肝転移にきわめてつよく関連していることが推察された。この結果をふまえ5FUの持続門注療法が有効な症例と無効の症例の違いがどこにあるかについて遺伝子レヴェルで検討する研究をはじめた。いっぽう臨床成績では持続門注療法の追跡を行い持続門注療法では肝転移再発率が8.7%であり、コントロールの13%に比べ67%の減少がみられた。また5FUの投与量について検討すると総投与量が4gを越えた症例では肝転移再発がまったくみられないことから、投与量が治療効果につよく関係していることが指摘された。本療法が肝転移再発を抑制することが期待され、今後もさらに追跡する予定である。
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[Publications] 山村 卓也: "抗癌剤の持続門脈内注入療法による肝転移抑制の研究" がん治療のあゆみ. 13. 15-22 (1994)
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[Publications] 松崎 弘明: "持続門脈内注入療法における5FUの薬物動態の検討" 癌と化学療法. 21. 2121-2123 (1994)
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[Publications] 松崎 弘明: "5FU持続門脈内注入法における血中、組織中濃度の非線形性" 聖マリアンナ医科大学雑誌. 22. 555-565 (1994)
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[Publications] 山村 卓也: "経口ロイコボリン錠とUFTによるBiochemical Modulation療法の薬物動態" 癌と化学療法. 22. 245-251 (1995)