1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05671098
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Research Institution | Osaka Medical College |
Principal Investigator |
磯崎 博司 大阪医科大学, 医学部, 講師 (50151436)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
秋元 寛 大阪医科大学, 医学部, 専攻医
原 均 大阪医科大学, 医学部, 助手 (40247846)
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Keywords | 肝阻血 / 阻血加肝切除 / 敗血症 / lipopolysaccharide / 細胞内カルシウム / Ca^<2+>拮抗剤 |
Research Abstract |
ラットの60分間阻血肝切除モデルにおいて、肝阻血中の肝細胞内Ca濃度の上昇は軽度であったが、再潅流後急速に細胞内Ca濃度上昇がみられ、肝逸脱酵素も急上昇した。すなわち、肝阻血中はミトコンドリアなどのCa貯蔵器官からCaが放出され肝細胞膜障害が生じる。再潅流後、障害を受けた細胞膜を通じてさらに大量のCaが細胞外より細胞内へ流入し肝細胞障害を増強させると考えられた。そこで、細胞外からのCa流入を抑制する目的でCa^<2+>拮抗剤(verapamil)を肝阻血直前に投与し同様の実験を行った。Ca^<2+>拮抗剤投与群では再潅流後の肝細胞内Ca濃度の上昇はCa^<2+>拮抗剤非投与群に比べ有意に抑制されており、肝逸脱酵素の上昇も抑制された。また60分間の阻血様式を、連続阻血群と反復阻血群とに分けて検討すると、反復阻血群では再潅流後の細胞内Ca濃度の上昇は軽微で、肝逸脱酵素の上昇も抑制されたことより、肝切除時の肝阻血法としては反復阻血法の方が残肝障害を軽減させることが確認できた。 Lipopolysaccharide(LPS)持続静注によるラット敗血症モデルにおいて、LPS投与1時間では肝細胞質内、ミトコンドリア内ともCa濃度の上昇は認められず、3時間でミトコンドリア内のCa濃度の上昇がみられた。すなわち、LPSにより肝細胞外から細胞内へCaの流入が起こるが、LPS投与3時間では細胞質内のCa濃度の上昇に伴いミトコンドリア内へCaが流入し、結果的に細胞質内Ca濃度の上昇が抑えられたと考えられる。したがって肝逸脱酵素の上昇も軽度であり、見かけ上肝障害は軽度であるが、この時点の肝ミトコンドリア呼吸能を測定してみると低下しており、ミトコンドリア障害は進んでいると考えられる。Ca^<2+>拮抗剤(diltiazem)投与により肝細胞質内、肝ミトコンドリア内Ca濃度上昇はともに抑制され、敗血症による肝障害軽減に有用と考えられた。
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Research Products
(1 results)