1994 Fiscal Year Annual Research Report
冠動脈バイパスグラフト内の圧・流量関係に基づくグラフトの機能評価に関する研究
Project/Area Number |
05671133
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Research Institution | KITASATO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
半谷 静雄 北里大学, 医学部, 講師 (80075522)
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Keywords | ドプラーカテーテル / 冠動脈バイパスグラフト / 有効下流圧 / 冠血管抵抗 |
Research Abstract |
1.冠動脈バイパスグラフト内の圧・流速関係の分析からグフトのconduitとしての機能評価を行った。 2.左冠動脈へのバイパスグラフト18本(大伏在静脈グラフト〔SVG〕11本、内胸動脈グラフト〔LITA〕7本)、正常左冠動脈(対照)12本の計30本を研究対象とした。 3.心カテ時に、20MHz Doppler catheterとmultisensor catheterを用いて各グラフト、正常左冠動脈内の流速(V)と大動脈圧(P)の同時計測を行った。 4.得られたVとPの実測値から以下の各パラメータを求めた。 ◎有効下流圧(Pfz):拡張期におけるVとPの一次回帰式から求めたVがゼロとなる時点でのPの値 ◎冠血管抵抗(CR):VとPの一次回帰式の傾きの逆数もしくは次式により算出 CP=Pm-Pfz/Vm、ここでPm及びVmは拡張期任意時相でのそれぞれ対応するP及びVの実測値 5.対照群(58±12.0)、SVG群(56±22.2)、LITA群(50±21.3)のPfz値間には有意差はなかった。SVG群のCR値は8.0±3.6と対照群(4.5±2.4)及びLITA群(5.3±2.8)のそれより有意に高値を示したが、対照群とLITA群のCR値間には有意差はなかった。 6.Pfzは心筋内冠血管トーヌスを反映することが知られている。冠血管トーヌスは冠循環自己調節能に大きな役割を果たすが、このPfzに先の3群間で有意差のなかった事実は、CR値が心筋外冠血管及びグラフトのconduitとしての抵抗値をそのまま反映したものと考えてよい。 7.冠動脈内圧-流量関係から求めた冠血管抵抗値の比較ではLITAがSVGより優れたconduit機能を有することが示唆された。
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