1993 Fiscal Year Annual Research Report
植込み型除細動器(ICD)の除細動閾値低減に関する研究
Project/Area Number |
05671142
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
田中 茂夫 日本医科大学, 医学部, 教授 (70089720)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宇都宮 英敏 日本医科大学, 医学部, 客員講師 (70176709)
浅野 哲雄 日本医科大学, 医学部, 助教授 (10150731)
池下 正敏 日本医科大学, 医学部, 助教授 (20089725)
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Keywords | 心室細動(VF) / 除細動閾値 / 2相性波形 |
Research Abstract |
心室頻拍(VT)、心室細動(VF)などの放置すると突然死に至る致死性不整脈の治療法として、植込み型除細動器(ICD)による治療法の評価はすでに確立されている。しかしながら装置の小型化、軽量化、除細動閾値の低減など、未解決の問題も多い。今回、我々が試みた研究は雑種犬を用いて種々条件下における除細動機閾値の低下を目的とし、除細動装置からの出力波形、電流値、電圧値などの至適条件を求めたものである。 まず、従来から報告されている出力波形の形態を、1相性波形と2相性波形を比較した。他の条件を同一にして出力波形を1相性から2相性とすることにより、除細動閾値は約30%低下させることが可能であった。しかしながら、本実験の問題点は、除細動用放電を繰り返すことにより心筋障害が蓄積されるために、同一条件下での複数の実験が行なえない点にある。また、心筋血流量、動脈血酸素飽和度も一定に保つことは容易でない。この問題の解決には、心筋障害の少ない新鮮な実験動物を多数使用することが大切であろう。 次いで、同様に3相性波形で除細動閾値を測定したが、有意の低減は認められなかった。その理由として、2相性波形による有効性は、第1相波形による除細動からの残存細動心筋が、第2相波形で改めて除細動されるためと解釈すれば、第3相波形が放出される時点では、残存細動心筋はすでに認められないためと考えられた。 今後はさらに通電波形の通電時間の相違、出力電圧を上昇させた際の影響なども検討する予定である。また、心内膜電極のみによる除細動を試みる際に、最も有効な心内膜電極の位置を求めることは臨床上重要である。上大動脈、右心房、右心室、冠動脈洞などの数か所の位置の組合わせのうち、最も低い除細動閾値の得られるものを求める予定である。
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