1995 Fiscal Year Annual Research Report
脳血管内手術に応用する新しい塞栓物質の開発に関する基礎的、臨床的研究
Project/Area Number |
05671145
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
兵頭 明夫 筑波大学, 臨床医学系, 講師 (40167606)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大箸 信一 通産省工業技術院, 生命工学工業技術研究所, 次長
能勢 忠男 筑波大学, 臨床医学系, 教授 (10009699)
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Keywords | 脳血管内手術 / 塞栓物質 / 感熱性高分子 / アクリルアミド共重合体 / ウサギ腎動脈 / 血管造影 |
Research Abstract |
平成5〜6年度の研究で、感熱性高分子であるアクリルアミド誘導体高分子は、脳血管内手術に用いる液体塞栓物質としての可能性のあることが明らかにされたので、今年度はさらにその応用、改良を検討した。 1、塞栓物質により適した新しい感熱性高分子の開発 平成5年度までに得られた新しい塞栓物質の候補は、感熱性高分子であるアクリルアミド誘導体のN-n-propylacrylamide及びN-isopropylacrylamideをミセル内で重合させることにより、より高分子量のものとして得たものであるが、その相転移温度及び濃度を変えることにより、塞栓物質により適した新しい感熱性高分子を開発し、以下の動物実験により、相転移温度26.4度、濃度10%が塞栓物質として有効であった。 2、塞栓物質の腎臓内注入モデルを用いた基礎的研究 ウサギ腎血管に新しく開発された塞栓物質を注入し、その塞栓効果を検討した。方法は全身麻酔下のウサギ大腿動脈より腎動脈にselective catheterizationを行い、塞栓物質注入を行った。また、血管造影の写真としては、今回からCR(computed radiography)を用いることにより、より鮮明な画像を得ることができた。その結果前述の感熱性高分子、相転移温度26.4度、濃度10%が塞栓物質として有効であった。しかし今回、ウサギ腎動脈塞栓後、5時間後に再び血管造影を施行したが、その結果わずかに再開通を生じる可能性があることがわかり、今後の課題であると思われた。 3、新しい塞栓物質候補の今後の可能性の検討 以上の基礎的研究の結果、新しい塞栓物質候補が実施の臨床例に応用可能かどうか検討した。臨床応用としては血管病変の塞栓物質として臨床応用可能であると思われたが、high flowな病変の塞栓にはあまり適用できないと思われた。今後の可能性としては、抗癌剤と結合させて徐放製剤とし、塞栓化学療法としての応用があると思われ、今後更に研究を続ける予定である。
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