1993 Fiscal Year Annual Research Report
レトロウイルス・ベクターを用いた悪性グリオーマに対する遺伝子導入の基礎的研究
Project/Area Number |
05671150
|
Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
平川 公義 東京医科歯科大学, 医学部, 教授 (00010166)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
濱田 洋文 (財)癌研究会癌研究所, 癌化学療法センター・分子生物治療研究部, 部長 (00189614)
青柳 傑 東京医科歯科大学, 医学部, 講師 (40134704)
|
Keywords | 悪性脳腫瘍 / 免疫遺伝子治療 / レトロウイルス・ベクター / サイトカイン / 腫瘍ワクチン |
Research Abstract |
1、サイトカイン発現レトロウイルスベクターのパネルの作成 マウスの各種サイトカインのcDNAをRT-PCR法でクローニングし塩基配列を確認した後、マウス白血病ウイルスに由来するレトロウイルスベクターへ組み込んだ。これをパッケージング細胞ψCRIPへトランスフェクトし、感染細胞のゲノムDNAのサザン分析を行って高力価のプロデューサー細胞クローンを樹立した。細胞一個当たり1.5コピー以上の高効率遺伝子導入が可能であった。サイトカインとしてはGM-CSF,IL-1,IL-2,IL-3,IL-4,IL-6,IL-10,TNF,LT,INF-γ,G-CSF,M-CSF,SCF,LIF,Oncostatin-M,MIF,及び接着分子のB7(CD28リガンド)のベクターを作成し、このパネルを用いて以下の動物実験を開始した。 2、サイトカイン遺伝子導入腫瘍ワクチンを用いた移植脳腫瘍の予防実験 マウスの低免疫原性メラノーマ株B16にサイトカイン遺伝子を導入してこれを高発現させた上で、10000radのX線照射により不活化し、腫瘍ワクチンとして同系マウスの皮下に投与した。一週間後非導入B16細胞500個を脳に移植し、脳腫瘍の生着を予防できるかどうかを検討した。ワクチンを投与されない群、及び非導入B16をワクチンとした群は全例20日前後で腫瘍死したのに対し、GM-CSFとIL-2またはGM-CSFとTNFを発現するワクチンを投与された群では有意な生存期間の延長を認め、一部のマウスは腫瘍を拒絶した。この結果は腫瘍ワクチン局所で発現されるサイトカインの働きで、宿主の抗腫瘍免疫能が誘導されたことによるものと考えられた。
|