1994 Fiscal Year Annual Research Report
先天性水頭症におけるBenzodiazepine receptorの変化
Project/Area Number |
05671156
|
Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
石川 正恒 京都大学, 医学部, 助教授 (20115786)
|
Keywords | 水頭症 / 受容体 / ベンゾジア.ゼピン / 脳血流量 / イン・ビボ・オートラジオグラフィー |
Research Abstract |
先天性水頭症における髄液短絡術の効果がBenzodiazepine(BZ)receptor分布に影響を及ぼすか否か、また、このBZ receptorの変化が脳血流と関係しているか否かを先天性水頭症発症HTXラットを用いて検討した。実験には生後3週目のHTXラット5匹を用い、ハロセン麻酔下に細いシリコン管を用い、脳室腹腔吻合術を行った。1週間後にハロセン麻酔下に、股静脈にカニュレーションを行い、BZ receptorのradioligandである^<125>I-Ro-16-0154を静脈内投与し、ついで90分後に血流トレーサーである^<123>I-iodoamphetamine(IMP)を投与した後、断頭にて脳を採取し、クリオスタットで薄切片を作成し、^<125>I-と^<123>I-とのダブルオートラジオグラフィーを行った。同様の操作を髄液短絡術を施行しなかった生後4週目の先天性水頭症発症ラット5匹においても行い、両群を比較検討した。(結果)髄液短絡術施行群ではBZ receptorの分布は大脳皮質で均等で、基底核部よりもより高濃度で、その比は2.3±1.3であった。一方、短絡術施行群でのBZ receptorの分布は2.0±0.9で、その比は短絡術施行群でより高い傾向を認めたが、統計的には有意差はみられなかった。脳血流についても同様で短絡術施行群に血流改善の傾向を認めたが、統計的には有意ではなかった。脳血流と皮質BZ receptorのRI濃度の相関係数は短絡術施行群でr=0.72、非施行群でr=0.80で両者ともに高い相関を示した。(考察・結論)今回の所見では短絡術によって脳血流量の改善傾向とともに、BZ receptorの増加傾向がみられたが、いずれも統計的に有意なものではなかった。この原因には水頭症に個体差があり、短絡術に対する反応性にも個体差があるためと思われた。しかし、大脳皮質においては、脳血流とBZ receptorの間には密接な関係が認められた。
|