1993 Fiscal Year Annual Research Report
家兎動脈の内膜剥離後の内皮再生機序と内膜肥厚機序に関する研究
Project/Area Number |
05671166
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
上田 伸 徳島大学, 医学部, 助教授 (10093840)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西谷 和敏 徳島大学, 医学部・附属病院, 医員
阿川 昌仁 徳島大学, 医学部・附属病院, 助手 (70253193)
佐藤 浩一 徳島大学, 医学部・附属病院, 助手 (90225938)
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Research Abstract |
目的として頚動脈内膜剥離後の内膜再生機序について家兎を用いて実験的に検討した.対象は日本白色雄家兎20羽.顕微鏡下で一側の総頚動脈に小切開を加え,微小鑷子により血管の全周にわたり長さ4mmに内膜層及び内弾性板を剥離除去し血管を縫合した.controlとして対側は小切開のみで縫合した.術後1時間より2ヶ月後まで種々の時点で,潅流固定を行い屠殺し,病理組織標本を作成した.検討項目は走査電顕,透過電顕,免疫染色として,FactorVIII,抗平滑筋抗体(HHF35),抗マクロファージ抗体(RAM11)を用いた.結果として走査電顕において,1週後に剥離辺縁より血流方向に向かうspindle typeの細胞を認め,4週後にはspindle typeとは明らかに形態の異なるovoid typeの細胞が認められ,6週後にはovoid typeおよびspindle typeの細胞群で剥離部全面が覆われた.免疫染色ではspindle type,ovoid typeの細胞はいずれも,内皮細胞に特異的なFactorVIIIに陽性であった.透過電顕でもovoid typeの細胞は,内皮細胞に特徴的なtight junction,pinocytic vesicle等を認めた.またovoid type cellの発現は血管壁縫合部や剥離により生じた陥凹部など血流が乱れ易い,低ずり応力領域に認められる傾向にあった.結論として内皮再生過程ではspindle typeとovoid typeの2種類の再生細胞が認められた.これまでにovoid type cellは平滑筋細胞由来との説があるが,今回の実験結果ではむしろ内皮細胞由来と考えるのが妥当であると思われた.
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