1994 Fiscal Year Annual Research Report
脳腫瘍におけるアポトーシスの誘導とその関連遺伝子の単離
Project/Area Number |
05671169
|
Research Institution | 佐賀医科大学 |
Principal Investigator |
白石 哲也 佐賀医科大学, 医学部, 助手 (70206275)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田渕 和雄 佐賀医科大学, 医学部, 助手 (50116480)
木原 俊一 佐賀医科大学, 医学部, 助手 (30253610)
|
Keywords | グリオーマ / Fas / Fas ligand系 / Bcl-2 / Bcl-x / Bax / TUNEL / OK-432 |
Research Abstract |
1)昨年度は脳腫瘍でBcl-2蛋白が発現しており、腫瘍細胞の生存に関与していることを報告した。本年度はさらにBcl-2関連蛋白質であるBcl-xおよびBaxの発現を免疫組織化学的に検討した。病理組織学的に悪性度の高い膠腫群でBcl-x陽性率がBcl-2陽性率より高値をとる傾向にあった。Baxの発現は悪性リンパ腫で高く、膠芽腫ではほとんど認められなかった。この結果、脳腫瘍においてはBcl-2とBcl-2が相補的にアポトーシスを抑制している可能性が示唆された。またBaxの発現によりアポトーシスが誘導されやすい腫瘍も存在していることが明らかとなった。 2)ヒトFasのアミノ酸配列から20塩基の合成ポリペプチドを作製し、これに対する抗Fasポリクローナル抗体による免疫組織化学的染色により手術時生検グリオーマ組織においてもFasが発現されていることが明らかとなった。この発現の程度とアポトーシスの発現頻度(apoptotic index)は正の相関が認められたことよりグリオーマにおいてもアポトーシスの誘導にFas/Fas ligand系が関与していることが示唆された。 3)我々の教室では以前よりOK-432-activated mononuclear cells(OK-MC)を用いて悪性脳腫瘍患者に養子免疫法を行ってきた。この細胞障害活性の少なくとも一部はFas/Fas ligand系によって媒介されているデータを予備実験にて得ている。
|
-
[Publications] 白石哲也: "脳腫瘍におけるアポトーシス関連DNA断片化の検出" 医学のあゆみ. 170. 775-776 (1994)
-
[Publications] 白石哲也: "脳腫瘍におけるBcl-2およびBcl-xの免疫組織化学的発現" 神経化学. 33. 646-647 (1994)
-
[Publications] "Fas抗体によるグリオーマ細胞のアポトーシス誘導とスフィンゴミエリン情報伝達系" 神経化学. 33. 266-267 (1994)
-
[Publications] Kihara,S.: "Induced expression and subcellular localization of the Bcl-2 protein in cultured glioma cells." Brain Tumor Pathology. 11. 161-167 (1994)
-
[Publications] 戸田啓介: "グリオーマにおけるFas抗原の発現とアポトーシスの頻度" 神経免疫研究. 印刷中.
-
[Publications] Nakagawa,S.: "Detection of DNA strand breaks of apoptotic cells in brain tumors by an in situ nick end labeling method." Virchows Archives,. (in printing).