1994 Fiscal Year Annual Research Report
急性期脳虚血の病態における一酸化窒素生成機構の役割
Project/Area Number |
05671181
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Research Institution | SAITMA MEDICAL SCHOOL |
Principal Investigator |
松居 徹 埼玉医科大学, 医学部, 講師 (70199735)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石川 俊郎 埼玉医科大学, 医学部, 助手 (10260845)
堤 一生 埼玉医科大学, 医学部, 助手 (70236917)
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Keywords | 脳虚血 / 一酸化窒素 / 一酸化窒素合成酵素 / 脳浮腫 / 脳梗塞 |
Research Abstract |
虚血モデルとして、ラット中大脳動脈閉塞(MCAo)を用いることによって得られた結果を以下に列挙する。1)LNA(1mg/kg、腹腔内投与)をMCAo後5分、3、6、24時間の計5回投与することでMCAo後72時間における梗塞巣を縮小させた。2)4時間の永久閉塞モデルにおけるLNA(1mg/kg、腹腔内投与、虚血後5分、3時間)の効果は、血流には影響しなかったがspecific gravityの低下を有意に阻止した。脳微小血管の線分化像を蛍光像から特殊画像により変換して脳微小循環障害を計測するとLNAの低容量は改善傾向を示す。3)2時間MCAo-2時間再灌流モデルにおけるLNA(1mg/kg、腹腔内投与、虚血後5分、再灌流直後)の効果は、再灌流後のdelayed hypoperfusionを阻止しspecific gravityの低下を有意に阻止した。4)LNAのMCAo48時間後における脳浮腫(dry-wet法、水分含有量)にたいする効果は、MCAo後5分、3、6、24時間の投与方法では、0.01-1mg/kgと極めてlow doseで有効であり、3mgを越えると無効となる。有効容量では、血圧、脳血流量にたいして有意な影響を来たさない。5)4時間MCAoで虚血中心部で産生されるNOを測定すると、虚血早期(10-60分)及び虚血後3時間にピークを迎えるNO overproductionが認められる。6)5)にLNAを1mg/kg腹腔内投与するとNO productionは、減弱する。7)6)と共にLNAによる梗塞巣の縮小を認めた。8)脳微小血管(MV)におけるCa-dependent(E-cNOS),Ca-independent(E-iNOS)のNOS活性をMCAo後経時的に測定すると、cNOSはMCAo直後にbaselineの約7-8倍にまで上昇し、それが下降傾向を辿り、1週間後に再度上昇する。一方iNOSは、MCAo後4時間にて上昇しており24時間後まで持続する。著者が得た以上の結果は、NOが脳虚血において悪玉として働くことを示唆している。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] 松居 徹: "虚血性脳細胞障害とNO" Dementia. 8. 168-174 (1994)
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[Publications] 松居 徹: "脳虚血とNO" 神経研究の進歩. 38. 957-966 (1994)
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[Publications] 松居 徹: "脳虚血とNO" バイオクリニカ. 9. 28-35 (1994)
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[Publications] 松居 徹: "脳虚血とNO" 現代医療. 27. 111-116 (1995)
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[Publications] Nagafuji.T.: "Inhibition of nitrie oxide synthesis mitigates unchenic brain edema," J.Neurochemistry. 61. S142 (1994)
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[Publications] Nagafuji.T.: "Teuporel profiles of Ca/calnudulin dependent and independent NOS activity" Acta Neurochirurgica. 60. 285-288 (1994)
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[Publications] 松居 徹: "CVD grand round series vol.1" ニューロン社, 192 (1994)
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[Publications] 松居 徹: "脳虚血の分子医学(臨床医のための実験医学シリーズ20)" 羊士社, 174 (1994)