1993 Fiscal Year Annual Research Report
砂ネズミ海馬CA1領域における虚血耐性現象のメカニズムについて
Project/Area Number |
05671185
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
中込 忠好 帝京大学, 医学部, 講師 (90198052)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
戸向 則子 帝京大学, 医学部, 教務職員 (30192214)
金光 秀晃 帝京大学, 医学部, 講師 (10129992)
田村 晃 帝京大学, 医学部, 教授 (80111532)
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Keywords | 虚血耐性 / 砂ネズミ / 熱ショック蛋白 / 脳虚血 |
Research Abstract |
短時間の脳虚血をあらかじめ動物ストレスとして与えておくと、2度目の虚血に対して神経細胞は耐性となることが“虚血耐性現象"として知られるようになった。また最初の虚血後、通常の蛋白合成は抑制され、ある一連の蛋白質(熱ショック蛋白)が誘導されることも明らかとなり、神経細胞における虚血耐性と熱ショック蛋白との強い関連も示唆されている。本研究は、蛋白代謝の面から虚血耐性のメカニズムを解明しようとするものである。虚血耐性は砂ネズミ前脳虚血モデルを用い2分虚血を通常の5分虚血2日前に負荷することで導入した。まず、虚血耐性を獲得した神経細胞における蛋白合成の回復をオートラジオグラフィーで検討した。蛋白合成は^3H-バリンの取り込みで評価した。その結果、虚血耐性を獲得した神経細胞では、単に2分虚血後におきる蛋白合成の回復よりも、回復速度が早いことが明らかになった。このメカニズムとして、【.encircled1.】虚血後の障害された蛋白が熱ショック蛋白の働きで、早期に除去された。あるいは、【.encircled2.】熱ショック蛋白そのものが、蛋白合成促進作用をもつ等の可能性が考えられる。また、虚血耐性を獲得した海馬CA1領域錐体細胞を電顕で観察した。5分虚血後には、通常のリボゾームのロゼット形成が失われ、フリーのリボゾームとなってしまっているのに対し、虚血耐性を獲得した神経細胞では、24時間後には、リボゾームのロゼット形成が再び確認され、形態学的な面からも蛋白合成の回復が速やかであることがわかった。さらに、虚血以外のストレスとして、蛋白代謝阻害剤を用い、海馬CA1錐体細胞と熱ショック蛋白が誘導されるのか否かを検討したところ、免疫組織学的に熱ショック蛋白の一つであるHsp70が誘導されることが明らかとなった。
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