1994 Fiscal Year Annual Research Report
神経成長因子の発生学的見地と胎児脳及び脳形成不全におけるニューロン成熟との相関
Project/Area Number |
05671187
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
大井 静雄 東海大学, 医学部・脳神経外科, 助教授 (30194062)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
継 淳 東海大学, 医学部・脳神経外科, 助手 (30266415)
下田 雅美 東海大学, 医学部・脳神経外科, 講師 (10206237)
松前 光紀 東海大学, 医学部・脳神経外科, 講師 (20209604)
竹井 太 東海大学, 医学部・脳神経外科, 講師 (00216839)
佐藤 修 東海大学, 医学部・脳神経外科, 教授 (00023763)
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Keywords | 神経成長因子(NGF) / 繊維芽細胞成長因子(FGF) / コリン作動性ニューロン / ニューロン成熟 / 癒合不全 / 二分脊椎 / マウス動物実験モデル / 海馬 |
Research Abstract |
本研究の方法論として、動物実験モデルに癒合不全mutant mouse(C57BL/6N系Spd/Spd)を選択し、NGF発現動態の分析に関してはすべて同系mouseで検索をすすめてきた。妊娠mouseを用い、胎生16,17,18日、および出生後0,1,2,5,7日の胎仔/新生仔の脳脊髄の連続切片を作成し、HE染色、KB染色に供した。昨年度はそのパラフィン固定標本より、次には凍結標本に対して胎仔マウスおよび新生仔マウスの脳脊髄の連続切片に対してrabbit抗NGF抗体による免疫染色を行なったが、全てに染色反応は得られなかった。次に、交差反応を有する他のNGF familyとして繊維芽細胞成長因子FGF(Fibroblast Growth Factor)であるacidic-FGFとbasic-FGFを対象として上記検索を繰り返した結果、前者に染色性が確認され、海馬を中心にその局在が認められた。この所見は、NGFが海馬、新皮質のニューロンで生合成され前脳基底野のコリン作動性ニューロンの軸索をアセチルコリンとは反対方向に逆行輸送され作動する、という概念に類似性を持つ可能性を示唆しているものと思われた。本年度は、そのFGFが出生前からどのような発現様式を呈するかを検討することに主眼をおき、同手法を用いて検索した。対象は出生1日目の新生仔と妊娠マウス21日目の胎仔の脳を摘出して凍結標本とした。使用した抗acidic-FGF抗体の希釈倍数の決定は10倍から160倍まで段階的に免疫染色を行ない、染色性の最も良い倍率を選んだ。結果においては、成マウスの脳の切片では海馬を中心にFGFの局在がみられたが、胎生21日目の胎仔では、標本部位の作成手技上の問題もあり、決定的なFGF positive elementの発現は得られなかった。今後はさらに、広くNGF familyの発現動態を検索し、これらの指標を用いて発生動態からニューロン成熟異常(特に脳、脊髄形成不全)の中での動きからこれらのNGF familyの役割を追求していく計画である。
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