1993 Fiscal Year Annual Research Report
腰椎椎間板ヘルニアによる神経根性疼痛発生機序とその抑制因子に関する実験的研究
Project/Area Number |
05671195
|
Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
熱田 裕司 旭川医科大学, 医学部, 助手 (90167924)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加茂 裕樹 旭川医科大学, 医学部, 助手 (50214565)
渡壁 誠 旭川医科大学, 医学部, 助手 (70182946)
竹光 義治 旭川医科大学, 医学部, 教授 (00038663)
|
Keywords | 神経根 / 知覚神経節 / 異所性発火 / 低酸素負荷 / 機械的圧迫 / 髄核 / コンドロイチン硫酸 |
Research Abstract |
神経根障害の機能的変化において、過剰な興奮発生すなわち異所性発火の存在は重要な要素である。腰椎椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症において頻繁に見られる根性坐骨神経痛やしびれは、この異所性発火の興奮が中枢に伝達されることにより生じるものと考えられる。本研究では、神経根障害の病態生理を機能的側面から検討するため、in vitro標本を作成して異所性発火の発現及び抑制様式を解析した。総計22頭の雑種成犬(体重6-10Kg)を用いた。ネンブタール静脈麻酔下に腰椎を椎弓切除し、第5-7腰髄神経根の後根を知覚神経節を含めて採取した。これを直ちに人工脳脊髄液(以下aCSF)を満たしたchamberに移して維持した機械的圧迫刺激による異所性発火発生閾値は、線維部より神経節部において有意に低かった。低酸素負荷を加えると神経節由来の発火が誘発され、機械的閾値もさらに低下した。低酸素以外に、正常髄核、コンドロイチン硫酸C、サブスタンス-Pを投与した場合に小数ユニットの反応性発火を認め、これらは単独で異所性発火を誘発しうる化学因子と推定された。一方、ブラディキニン、プロスタグランジンE2,セロトニンなどは発火を誘発しなかった。低酸素負荷に誘発された発火に対してメチルB12、トリアムシノロン、塩酸エペリゾンは即時的な抑制効果を示した。今回得られた結果は、神経根障害による痛みやしびれ、あるいは間欠性跛行の病態と治療の意義を理解する上で重要な知見と思われた。今後、慢性圧迫神経根を用いて同様の研究を行うことがきわめて重要と予想される。
|
-
[Publications] 菅原 修: "神経根に及ぼす機械的圧迫と低酸素負荷の影響-in vitro modelを用いた異所性発火の解析" 北整災誌. 36. 21-26 (1993)
-
[Publications] 熱田 裕司: "神経根における異所性発火発現および抑制因子について-in vitro実験モデルによる解析-" 日本脊椎外科学会雑誌. 4. 4 (1993)
-
[Publications] M.Miyatsu: "The physiology of mechanoreceptors in the anterior cruciate ligament" J.Bone and Joint Surg.75B. 653-657 (1993)
-
[Publications] 熱田 裕司: "In vitro神経根標本による異所性発火発現および抑制因子解析" 日整会誌. 67. S1357 (1993)
-
[Publications] 村元 敏明: "神経根における異所性発火発現および抑制因子について" 脊髄電気診断学. 15. 72-75 (1993)
-
[Publications] 熱田 裕司: "神経根における異所性発火発現および抑制因子について-in vitro実験モデルによる解析-" 臨牀整形外科. (印刷中).