Research Abstract |
申請者等は,抗癌剤の局所動注療法と手術療法の研究を進め,患肢温存療法に対する全身的,局所的抗癌剤の投与法を確立してきた。しかし,発症早期からの肺転移の制圧は現在もなお困難であり,予後不良の大きな原因となっており,肺転移に対し有効な治療法を確立することが大きな課題の一つである。 LAK細胞を用いた養子免疫療法は,肺転移抑制効果が注目されており,新しい治療法として期待されている。 特に,整形外科領域では,この分野に関する研究は極めて少く,悪性骨腫瘍に対する治療法として臨床的有効が期待される研究である。 平成5年度は,骨肉腫患者に対する抗癌剤投与経路による免疫機能の変化について研究の評価を行った。 悪性骨腫瘍に対する抗癌剤化学療法の末梢血中サイトカインに及ぼす影響について検索したが,サイトカインの測定法としては,患者より採血したヘパリン加静脈血を直ちに冷却し,3,000回転,10分以上で遠心分離し,血清分画を-80°Cで凍結保存し,IL-1β,IL-2,IL-6,TNFαの4項目についてELISA法で測定した。 抗癌剤の局所動注療法ならびに全身に投与法に於ては,IL-1β,IL-2ではほとんど差を認めなかったが,IL-6,TNFαは抗癌剤投与後の白血球数の減少に呼応して急増し,活動性の高い病巣を有する症例と比較して明らかな病巣のない症例,又はよくコントロールされている症例では,抗癌剤に対する内因性サイトカインの変動が著明であった。 以上の結果より,腫瘍と宿主の抗癌剤化学療法に対する免疫学的応答の把握により,BRMを用いた免疫療法の導入が,より有効な治療法の確立に寄与する可能性があると考えられた。
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