1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05671213
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
清水 克時 京都大学, 医学部, 講師 (90170969)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中山 裕一郎 京都大学, 医学部, 助手 (40243026)
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Keywords | カルパイン / 関節炎 / 滑膜 / 関節液 / マトリックス分解酵素 |
Research Abstract |
慢性関節リウマチ(RA)や変形性関節症(OA)などの関節炎では、滑膜・関節液中のプロテアーゼが軟骨基質の主要成分であるプロテオグリカンやコラーゲンを分解し、関節軟骨が破壊される。このようなプロテアーゼとして、stromelysinやcollagenaseなどのマトリックス分解酵素が知られている。従来細胞内プロテアーゼとして知られていたカルパインは、強力な軟骨プロテオグリカン分解活性をもち、マトリックス分解酵素としてもはたらいていることがわかってきたが、滑膜・関節液のカルパインについては、未だ解明されていない。今回の研究は、関節液中のカルパインがどこで産生されるのか、カルパインがどの様な役割をはたしているのかを知る目的でおこなった。関節手術の際に得られる関節滑膜を採取し、カルパインの抗血清により免疫組織染色をおこなった。その結果、慢性関節リウマチ(RA)滑膜では、滑膜表層細胞、基質内の線維芽細胞、血管内皮細胞の細胞質にカルパインの特異的な染色性が観察された。変形性関節症(OA)でも、RAとほぼ同様の分布をもつ染色性がみられた。関節穿刺により得られた関節液、および関節手術の際に得られた滑膜を粉砕、遠心しDE52によるゲル濾過によって、カルパインを分離し、その酵素活性を慢性関節リウマチ(RA)と変形性関節症(OA)とで、比較定量した。その結果、RAとOAの滑膜抽出液および関節液から、カルパイン活性と、カルパインに特異的な抑制物質であるカルパスタチンによる活性抑制のピークが得られた。定量実験の結果では、RA患者のカルパインI、II活性の合計はカルパスタチンの活性よりも高かった。上記の研究結果は、カルパインの細胞外への分泌が、滑膜細胞によっておこることを示唆している。また、カルパインは他のマトリックス分解酵素とともに、RAとOAの関節軟骨破壊に重要な役割をもつと考えられた。
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[Publications] 清水克時: "Immunohistochemical Studies of Age-Associated Amyloid Deposition in the Joint of Senescence-Accelerated Mouse(SAM)" Z.Rheumatol.9. 26-36 (1992)
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[Publications] 清水克時: "Calpain:A New Matrix Proteinase" Biomed.Rev.1. 69-72 (1992)