1994 Fiscal Year Annual Research Report
膝十字靭帯再建術における再建靭帯の至適走行性について
Project/Area Number |
05671217
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
黒坂 昌弘 神戸大学, 医学部, 助教授 (70170115)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤岡 宏幸 神戸大学, 医学部・附属病院, 助手 (10252777)
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Keywords | 前十字靭帯 / 膝関節 / 靭帯 / 主体力学 |
Research Abstract |
平成5年度までに、コンピューターによる理論解析による研究を行うことにより、理想の骨孔方向とその時に生じるであろう曲げ変形、およびひずみ変形が判明した。平成6年度の研究では大腿切断時に得られた新鮮屍膝を用い、実験を行い理論的解析の妥当性を検討した。実際には新鮮屍膝の至適位置より種々の方向に骨孔を作成し、この骨孔を通してX線非透過性の軟性ワイヤーを通し、種々の膝屈曲角度で正・側面のX線撮影を行った。この後、曲げ変形を産出する式を三角関数を用いた計算により導き検討した。実験値は理論計算値とよく一致しており、大腿骨側の至適骨孔方向は従来より経験的に作製されていた骨孔方向とは異なり、前方に23度,外側に20度の方向である事が分かった。さらに脛骨の至適骨孔方向も前方に50度,内側に24度の方向であり、従来の方向とは異なっていた。至適方向からはずれた骨孔の作製では容易に移植腱に100度以上の曲げ変形を生じる事が分かった。また高度の曲げ変形を生じた場合には移植腱内に生じるひずみ変形も大きく、また移植腱内に生じる内圧も高い事が分かった。実験で求められた値は理論解析値とよく一致しており、曲げ変形による初期の移植腱の破損の可能性が明らかになった。また至適方向への骨孔の作製の為には関節内からの骨孔作製が必要である事も判明した。さらに詳細に移植腱の固定方法と曲げ、ひずみ変形との関連を調査すると、膝蓋腱を用いた前十字靭帯再建術では大腿骨側も脛骨側もともに短冊状の靭帯の短辺を前額面に一致させて固定する事が望ましい事が分かった。これらの結果は前十字靭帯再建術の成績の向上にむすびつくものと考えられる。
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Research Products
(1 results)