1993 Fiscal Year Annual Research Report
アドリアマイシンの核DNA結合能による多剤耐性悪性骨軟部腫瘍の検出
Project/Area Number |
05671224
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
楠崎 克之 京都府立医科大学, 医学部, 助手 (30177993)
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Keywords | アドリアマイシン / 核DNA / 蛍光 / 悪性骨軟部腫瘍 / 薬剤耐性 |
Research Abstract |
本年度はアドリアマイシン(ADR)の核DNA結合能による多剤耐性悪性骨軟部腫瘍の検出方法としてのAdiamycin Binding Assay(ABA)を臨床作用するための基礎研究を行なった。その結果以下の点が明かとなった。、【.encircled1.】ABAをヒト悪性骨軟部腫瘍に応用するためには新鮮腫瘍材料から腫瘍細胞を生きたまま単離する必要があり、これにはコラゲナーゼ処理が適していた。【.encircled2.】ABAに用いるADRの濃度は10ug/mlで30分暴露するという条件が最も適していた。【.encircled3.】生細胞を標識するためのfluorescein diacetate(FDA)の濃度は飽和状態が適していた。【.encircled4.】ADR感受性の細胞の核からは核全体が明瞭に確認できるようなADRの赤色蛍光が見られ、抵抗性の細胞からは全く蛍光が見られないものから淡く核縁が見られるものまで様々であった。以上の結果をもとに数例のヒト悪性骨軟部腫瘍症例にABAを応用したところ現在までに次のことが分かってきた。【.encircled1.】化学療法後に再発・転移を生じた症例および初診時に転移巣を有していた症例ではADR感受性細胞の比率(%AB)は80%以下であるものがほとんどであった。【.encircled2.】原発性骨軟部腫瘍で化学療法が有効と考えられた4症例では%ABは80%以上であったが、無効と考えられた5例中2例も90%以上の%ABを示した。この結果から、ABAで感受性がないと判定された症例は臨床的にも化学療法に抵抗性がある可能性が高く予後不良であると推定できるが、感受性があると判定されたものでも実際の化学療法に抵抗するものもあるという結論が予想される。この点については次年度に詳しく解析できると考えている。
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