1994 Fiscal Year Annual Research Report
変形性関節症ならびに慢性関節リウマチにおける関節軟骨の破壊機構に関する研究
Project/Area Number |
05671236
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Research Institution | JIKEI UNIVERSITY SCHOOL OF MEDICINE |
Principal Investigator |
藤井 克之 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助教授 (10112856)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 孝昭 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (80171768)
蔡 詩岳 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (80183359)
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Keywords | 変形性関節症 / 慢性関節リウマチ / 軟骨細胞 / II型コラーゲン / プロテオグリカン |
Research Abstract |
変形性関節症(OA)や慢性関節リウマチ(RA)における関節軟骨の破壊機構に関しては、不明な点が多い。今回、これらの病的軟骨から軟骨細胞を分離、培養し、その基質合成能をたんぱく質レベルで検討した。すなわち、手術時にOAならびにRA関節軟骨を採取し、肉眼的にほぼ健常な部分と、軽度ならびに中等度の変性所見を呈する部分の軟骨片を採取した。軟骨細胞は、それぞれの軟骨片を0.8%プロナーゼと0.4%コラゲナーゼで消化して分離し、10%ウシ胎児血清(FCS)を含むDME培養液で培養した。プロテオグリカンの合成量の測定は、^<35>SO_4^<2->でラベルした培養液をSephadex G-50カラムを用いて行い、II型コラーゲンの合成量は、^<14>Cプロリンを用いてラベルした培養液からImmunoprecipitation法にて測定した。その結果、変性が軽度なOA関節軟骨から得られた軟骨細胞のコラーゲン合成量は、コントロールの115%であり、プロテオグリカン合成量はコントロールの120%と増加していた。一方、変性が中等度の部位の軟骨細胞のコラーゲン合成量はコントロールの71%であり、プロテオグリカン合成量はコントロールの78%といずれも低下していた。また、RA関節軟骨から得られた軟骨細胞のコラーゲンならびにプロテオグリカン合成量は、変性の程度にかかわらず、コントロールより低値を示した。 これらのことから、OAでは、関節軟骨の変性が軽度であれば、軟骨細胞の基質合成能は増加してなんらかの軟骨基質の修復が営まれているものと推察された。しかし、変性が進行すると、この軟骨細胞の基質合成能も低下し、基質の分解が合成を大きく上回ることが判明した。一方、RAでは、OAの場合と異なり、変性が軽度の段階でもその基質修復能は低いことが明らかとなった。したがって、OAとRAでは、軟骨基質の破壊機構のみならず、その修復能も異なることが判明した。
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