1993 Fiscal Year Annual Research Report
mRNA注入受容体発現モデルを用いた細胞内2次情報伝達系に対する麻酔薬の作用
Project/Area Number |
05671246
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
太田 善博 北海道大学, 医学部, 助手 (00142802)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森本 裕二 北海道大学, 医学部・附属病院, 助手 (00250457)
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Keywords | メッセンジャーRNA / アフリカツメガエル / 卵母細胞 / 揮発性麻酔薬 / 受容体 |
Research Abstract |
本研究では、細胞内二次情報伝達系に対する揮発性麻酔薬の影響を検討するためにラット脳より抽出したmRNAをアフリカツメガエルに注入し、中枢神経系モデルを作成した。このモデルでは代謝調節型受容体、G蛋白質、phospholipase C(PLC),inositoltrisphosphate(IP3)を介して,Ca^<2+>が放出されCl^-チヤネルが開口し、最終的にCl^-電流が観察される。このCl^-電流を指標として一連の細胞内情報伝達系に対する揮発性麻酔薬の影響の解析が可能となる。本研究では代謝調節型受容体のアゴニストとして5-hydroxy-triptamine(5-HT)を用いた。さらに直接細胞内にIP_3,Ca^<2+>を注入して誘発されるCl^-電流を指標に揮発性麻酔薬の作用点の同定を行った。 揮発性麻酔薬であるハロタン,イソフルラン,メトキシフルランのいずれも、5-HT誘発性Cl^-電流を濃度依存性に抑制し、この変化は可逆的であった。メトキシフルレンによる濃度-反応曲線では、ED_<50>が右方偏位することなく最大値が抑制されたので非競合的抑制であることが示唆された。IP_3,Ca^<2+>注入によって誘発される電流応答はハロタン、イソフルラン、メトキシフルランのいずれによっても変化を認めなかった。 本研究の成績から以下の2点が明かとなった。 1)揮発性麻酔薬は代謝調節型受容体を介する細胞内二次情報伝達系を抑制した。 2)代謝調節型受容体、G蛋白質、PLCなどの細胞膜に存在する成分が揮発性麻酔薬の重要な作用点であることが示唆された。
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[Publications] 岡村 篤: "細胞内二次情報伝達系に対する揮発性麻酔薬の抑制的作用の解析:mRNA注入アフリカツメガエル卵母細胞の受容体発現モデルを用いて" 北海道医学雑誌. 69(印刷中). (1994)
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[Publications] Ma.Elena S.Alojado: "The effect of fentanyl and morphine on neurons in the dorsal raphe nucleus in the rat:an in vitro study" Anesthesia and Analgesia. 78(印刷中). (1994)
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[Publications] Yoshihiro Ohta: "Effects of putative neurotransmitlers and intravenous anesthetics on the activity of rat locus coeruleus neurons in vitro" Journal of Anesthesia. 8(印刷中). (1994)