肝内血流・代謝調節機構におけるプロテインキナーゼCの役割とその特色

1994 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 05671249
• Research Institution: Chiba University
• Principal Investigator: 稲葉 英夫 千葉大学, 医学部附属病院, 講師 (60159952)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 今井 美絵 千葉大学, 医学部附属病院, 医員 ; 近 新平 千葉大学, 医学部附属病院, 助手 (50261904)
• Keywords: プロテインキナーゼC / 摘出灌流肝 / phorbol myristate acetate / Kupffer cell / gadolinium chloride

Research Abstract

前年度までの研究で、(1)PKCが肝血流・代謝の制御に関与していること、(2)PKC依存性の変化は、門脈中のブドウ糖およびカルシウム濃度、またラットの栄養状態により影響されることが明らかとなった。本年度は、このPKC依存性肝血流・代謝調節機構の中で、Kupffer細胞の役割を明らかにした。また、揮発性麻酔剤であるイソフルランやハロ-センの影響も検討した。灌流開始24時間前に、Kupffer細胞の不活性化剤であるgadolinium chlorideでラットを前処理すると、PKC活性化剤であるphorbol myristate acetateによる肝灌流量および代謝変化は減弱した。灌流数を、イソフルランやハロ-センで飽和させると、PKC活性化作用を有するphorbol esterによる肝灌流量および代謝変化は抑制された。以上より、kupffer細胞のPKCが、特に、肝血流・代謝の制御に関わっていること、また、揮発性麻酔剤は、PKC活性化による病的肝血流・代謝変化に抑制的に働く事が明らかになった。本研究は、ラット摘出灌流肝を用いてきたが、今後、研究で明らかになったPKC依存性肝血流・代謝機構が、種々の病態においてどのような意義を持つのかを、検討する必要がある。

Research Products

• [Publications] Inaba H,Araki M et al.: "Modulation of protein kinase C produces glucose-dependent alterations in hemodynamics and metabolism in the perfused liver" Tohoku J Exp Med. (in press). (1995)
• [Publications] Araki M,Inada H et al.: "Isoflurane modulates phorbol myristate acetate-,prostaglandin D_2- and prostagladin E_2-induced a lteration in hepatic flow and metabolism in the perfused liver in fasted rats." Anesth Analg. 79. 267-273 (1994)