1994 Fiscal Year Annual Research Report
肺サーファクタントの活性に不可欠な成分の検索と人工サーファクタントの開発
Project/Area Number |
05671254
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
小林 勉 金沢大学, 医学部, 教授 (40019922)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田代 勝己 金沢大学, 医学部附属病院, 助手 (30242556)
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Keywords | 肺サーファクタント / サーファクタント関連蛋白 / 成人呼吸窮迫症候群 / 静的肺圧量曲線 / 換気量 / 噴霧吸入療法 / 動脈血酸素分圧 / 超音波ネブライザー |
Research Abstract |
1.肺サーファクタントの活性に必要な蛋白質の種類と量の検索 ブタ肺サーファクタントから分離した脂質分画とアポ蛋白‐Bおよび‐C分画(SP‐BおよびSP‐C)を種々の割合で再混合し、ウサギ未熟胎仔に投与して活性を検索した。その結果、SP‐BとSP‐Cのどちらか一方が欠如しても、サーファクタントとしての機能を示さないことが判明した。SP‐BとSP‐Cの比率を1:2とし、脂質に対して2.1%のアポ蛋白(天然の2倍量)を加えると、静的肺圧量曲線は天然のサーファクタント投与した場合と同程度に好転した。しかし、20cmH_2Oの吸入圧で人工呼吸した場合の換気量は、天然サーファクタントの場合の58%にとどまった(p<0.05)。以上より、SP‐BとSP‐Cは、サーファクタントの活性に不可欠な成分であると結論された。しかし、換気量が不十分であったことから、各組成の再検討が必要であると考えられた。また、静的肺圧量曲線は、サーファクタントの機能を正確に反映しないことが判明した。以上の結果は、人工サーファクタントを開発するための重要な資料であると考えられた(J.Appl.Physiol.投稿中)。 2.成人呼吸窮迫症候群(ARDS)に対するサーファクタント投与方法の検討 我々は、平成5年度のラットを用いた実験で、サーファクタントを経気道的に注入すると、ARDS様の病態が改善することを見出している。平成6年度は、噴霧吸入によるサーファクタント投与法の効果を調査た。ARDSのラットに超音波ネプライザーでサーファクタントを120分間吸入さた結果、50mg/kg前後のサーファクタントが肺胞に到達し、動脈血酸素分圧が8mmHgから243mmHgに改善した(P<0,05)。以上より、本法は臨床応用が可能であり、人工サーファクタントの開発を急ぐ必要がると考えられた(Critical Care Medicine投稿中)。
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[Publications] Li,Wen‐Zhi: "Aerosolized surfactant reverses respiratory failure in lung lavaged rats" Acta Anaesthesiologica Scandinavica. 38. 82-88 (1994)
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[Publications] Nitta,Keiko: "Impairment of surfactant activity and ventilation by proteins in lung edema fluid" Respiration Physiology. 95. 43-51 (1994)
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[Publications] Tashiro,Katsumi: "Effect of surfactant replacement on respiratory failure induced by intratracheal endotoxin injection" Progress in Respiration Research. 27. 212-215 (1994)
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[Publications] 早稲田 佑子: "終末呼気陽圧とサーファクタント投与量が肺洗浄ラットに与える効果" 日本界面医学会雑誌. 25. 83-88 (1994)
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[Publications] 山田 圭輔: "エンドトキシンにより呼吸不全を呈したラットに対するサーファクタント吸入療法" 日本界面医学会雑誌. 25. 106-113 (1994)
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[Publications] Tashiro,Katsumi: "Surfactant replacement reverses repiratory failure induced by intratracheal endotoxin in rats" Critical Care Medicine. 23. 149-156 (1995)