1994 Fiscal Year Annual Research Report
麻薬、非麻薬鎮痛薬の低酸素、高炭酸ガス換気抑制機序の呼吸循環応答測定法による検討
Project/Area Number |
05671255
|
Research Institution | Fukui Medical School |
Principal Investigator |
原田 純 福井医科大学, 医学部, 助教授 (20094394)
|
Keywords | 鎮痛薬 / 横隔膜酸素飽和度 / 横隔膜筋電図 / 低酸素換気応答 / 炭酸ガス換気応答 |
Research Abstract |
低酸素血症および高炭酸ガス血症の、換気抑制効果におよぼす麻薬、非麻薬性鎮痛薬の影響を解析し、鎮痛薬投与の安全域を検討することを目的に、この研究計画をたてた。ペンタゾシンの腹腔内投与により作成されたラットの呼吸抑制モデルを、自発呼吸を残したままチャンバー内に入れ、吸気酸素濃度を21%から徐々に下げていき、完全に呼吸が停止するまでの換気循環応答を、横隔膜筋電図と横隔膜組織酸素飽和度を測定することにより解析した。次に酸素濃度100%のチャンバー内に炭酸ガスを徐々に加えていき、炭酸ガス負荷を行なった。この時の換気循環応答を同様に分析した。低酸素負荷により横隔膜血流量は増大したが、横隔膜組織酸素飽和度は徐々に低下を示した。この低下は、ペンタゾシン投与量の多いものほど、急激に生じる傾向がみられた。これは低酸素による換気刺激反応が、鎮痛薬により抑制された結果と推測された。高炭酸ガス負荷により横隔膜血流量は増大したが、低酸素負荷によるものと異なり、横隔膜組織酸素飽和度は初期には上昇した。しかし炭酸ガス負荷がすすむにしたがい、横隔膜血流量が変化しないにもかかわらず、横隔膜酸素飽和度は低下を示した。この低下は、ペンタゾシンの投与量が多いものほど早期に生じる傾向がみられた。これは高炭酸ガスによる換気刺激反応が鎮痛薬により抑制され、呼吸筋としての疲労は少ないものの、鎮痛薬による呼吸抑制がつよく表れた結果と推測された。以上のことより、低酸素および高炭酸ガスによる呼吸抑制が、ペンタゾシンにより強調されることが示唆された。今後横隔膜筋電図の解析により、呼吸筋疲労の面から分析を行なう予定である。
|