1994 Fiscal Year Annual Research Report
リンパ管活性が細胞外液の分布に及ぼす影響とその制御機構について
Project/Area Number |
05671279
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
田中 義文 京都府立医科大学, 医学部, 教授 (50079935)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中川 美穂 京都府立医科大学, 医学部, 助手 (00244583)
溝部 俊樹 京都府立医科大学, 医学部, 講師 (50239266)
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Keywords | 血液量調節 / リンパ流量 / 血管容量 / 血管透過性 / 水分ろ過係数 / リンパ灌流 |
Research Abstract |
リンパ管系は毛細血管にて濾過された水分及びタンパク等の回収回路として重要な機能を果たしている.従来,このリンパ管系により回収される水分量は,この細胞間質に存在する水分量により受動的に決定されるものであると考えられてきた.これはリンパ管系を単なるover-flow回路系として位置づけるもので,同時にリンパ管系に対する能動的な制御機構は存在しないとする考えの一根拠ともなっている. われわれは循環血中に^<22>Naおよび^<125>I-Io-tharamateまたは^<125>I-RISA放射性同位元素を投与し,血液中同位元素濃度を経時的に測定し,また胸管よりリンパ液を採取して蛋白濃度と同位元素濃度を測定した.リンパ流量は1〜2ml/kg/hourであり,その蛋白濃度は約2g/dlであった.血漿中^<22>Naおよび^<125>I-Iotharamate濃度とリンパ液の濃度とはほぼ同じであり,^<125>I-RISA濃度は1/3であった.輸液負荷によりリンパ液濃度は増加したが,最大2倍程度であった.成書では20倍の増加まであり得ると記述されているが,我々の実験ではそれほどの収量は得られなかった.リンパ液が増量した時の^<22>Naおよび^<125>IIotharamate濃度は血漿濃度と変化は無かったが,^<125>I-RISA濃度は有為な低下を示した.このことはリンパの蛋白ドレナージが働き,間質での水分貯留を防ぐ機構が働いたと示唆される.しかし,Staubらの肺リンパ液の理論で唱えられている強力なリンパドレナージ効果は体循環では期待できない.体循環のリンパ液は既に2g/dlと十分蛋白濃度が低いために,リンパ流量が増加しても,その蛋白濃度の低下が顕著にあらわれないためである. 一方,トレーサの間質への減衰曲線を解析すると,間質にトレーサが分布しやすい層と遅れて徐々に分布する層があることが示された.この変化は血管床の多い組織とそうでない組織とに区別できるのか,それとも血管周囲自由水層とゲル層に分布できるのかを決定することが今後の課題としてのこった.
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Research Products
(8 results)
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[Publications] 田中 義文: "輸液療法" 集中治療. 5. 413-422 (1993)
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[Publications] Yoshifumi Tanaka: "Anesthesia'for Renal TransplanfatiQn" Anesthesia Today. 2. 4-11 (1993)
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[Publications] Yoshifumi Tanaka: "Hypokalemia" Anesthesia Today. 2. 284-289 (1993)
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[Publications] 田中 義文: "血管内外水分移動のカイネティクス" 侵襲時の体液・代謝管理. 8. 9-14 (1993)
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[Publications] 田中 義文: "術後合併症とその管理-ショック・心停止-" 消化器外科. 17. 834-836 (1994)
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[Publications] 田中 義文: "体外循環離脱-酸素供給からみた離脱の条件-" 臨床麻酔学会誌. 14. 491-494 (1994)
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[Publications] 田中 義文: "(第2版)標準麻酔科学" 医学書院, 352 (1993)
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[Publications] 田中 義文: "(第2版)最新麻酔医学" 克誠堂出版, 1084 (1994)