1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05671286
|
Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
安田 信彦 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (80174514)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鳥海 和宏 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助手 (50237161)
|
Keywords | 吸入麻酔薬 / 不妊症 / セボフルレン / 手術室汚染 / 余剰ガス / 動物 / ラット |
Research Abstract |
手術室に勤務する者において不妊症の出現率が高いと報告されているが,手術室を汚染する吸入麻酔薬(つまり,余剰ガス)の影響が考えられる。本研究では,ラットの妊娠率がセボフルレンの暴露によってどのように影響されるかを検討した。窒スメアの上皮細胞の所見によって月経周期が規則正しいことを確認した雌ラット12匹を無作為にセボフルレン暴露群(セボ群)と対象群の2群に分けた。セボ群6匹は,飼育箱ごと4週間の期間に渡り週4日間の割合で1日6時間空気と混合した0.1%セボフルレンに暴露した。対象群は,同様に空気のみに暴露した。両群とも食餌と飲水は自由にさせた。セボフルレンの濃度は麻酔ガスモニターで連続測定した。暴露後から4日間(1月経周期)両群の雌ラットを雄ラットと交尾させ,妊娠成立の有無を観察した。その結果,妊娠率はセボ群および対象群でそれぞれ83%および100%であった。実験計画では両群12匹ずつで比較することになっているので,統計学的有意差検定は現時点で例数も小さく行っていなく,発表もしていないが,セボ群で妊娠率が低下している傾向にある。以上より,亜酸化窒素(笑気)ほどではないが,揮発性吸入麻酔薬の低濃度長期暴露も妊娠率を低下させることが示唆された。今後は実験計画に基づき,両群とも12匹ずつになるまで例数を追加し,統計学的にセボ群の妊娠率低下を確認する予定である。さらに,亜酸化窒素による妊娠率低下に関与しているとされている月経周期異常がセボ群において発生していないかどうかを検討する。また,わが国で広く用いられているもう一つの揮発性吸入麻酔薬であるインフルレンについても検討する予定である。
|