1993 Fiscal Year Annual Research Report
ハリ通電刺激によるオピオイドペプチド産生に関する研究(ISH法による解析)
Project/Area Number |
05671292
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Research Institution | Kansai College of Oriental Medicine |
Principal Investigator |
錦織 綾彦 関西鍼灸短期大学, 教授 (20192247)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
樫葉 均 関西鍼灸短期大学, 講師 (10185754)
上田 至宏 関西鍼灸短期大学, 教授 (00028565)
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Keywords | オピオイドペプチド / ユンケファリン / ダイノルフィン / Fos蛋白 / Iu Situハイブリダイゼーション / 免疫組織化学 / 鍼鎮痛 / ラット |
Research Abstract |
主にこれまで、ハリ電気刺激後におけるFos蛋白の発現を、逆行性トレーサーを用いたICC法により検討してきた。Fos蛋白はハリ電気刺激開始後一時間で、脊髄後角の表層(I、II層)に発現しており、これらの細胞はほとんど脊髄固有のインターニューロンであることが分かった。三時間後、表層のFos陽性細胞は減少しており、深層(III層以下)により多くのFos蛋白が発現していた。視床下部の室傍核、視索上核、弓状核や下垂体前葉にもFos陽性細胞が認められた。またISH法により、ハリ電気刺激後1-2時間でppENKmRNAのシグナルは、脊髄後角において増加している傾向を示したが、ppDYNmRNAの発現には変化が認められなかった。 Fos蛋白を指標にしたこれらの結果は、ハリ刺激により神経系のあるニューロン群が応答したことを意味し、ハリ刺激の効果を細胞レベルで議論することが可能となった。特に、視床下部-下垂体系におけるFos蛋白の発現は、ホルモン分泌の調節に対するハリ刺激の関与が示唆される。ISH法による実験結果は、鍼鎮痛のメカニズムと痛覚抑制システムとの関係を細胞レベルで精力的に検討を進めた研究報告がほとんどなかったのに対し、意義ある基礎的データが得られるものと考えている。
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[Publications] 錦織,綾彦他: "歯髄刺激による三又神経脊髄路核尾側亜核のFos蛋白と皮膚抑制" 関西鍼灸短期大学年報. 8. 59-64 (1993)
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[Publications] 錦織,綾彦他: "ラット開口反射と三又神経脊髄路核におけるc-fos発現" 第3回世界鍼灸学術大会抄録集. 117 (1993)
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[Publications] 樫葉,均他: "ハリ電気刺激後、Fos蛋白は視床下部-下垂体系に発現する" 第3回世界鍼灸学術大会抄録集. 116 (1993)
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[Publications] 本城,正則他: "ハリ電気刺激により脊髄後角に発現するFos陽性細胞について" 第3回世界鍼灸学術大会抄録集. 115 (1993)