1994 Fiscal Year Annual Research Report
抗精子モノクローナル抗体を用いた免疫的不妊症の解明とその実験動物モデルの開発
Project/Area Number |
05671300
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Research Institution | Kyushu Dental College |
Principal Investigator |
羽地 達次 九州歯科大学, 歯学部, 助教授 (50156379)
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Keywords | 免疫的不妊症 / 精子凝集能 / 免疫蛍光抗体法 / ブタ精子 / ヒト精子 / モノクローナル抗体 / 抗精子抗体 / 免疫ブロッテング法 |
Research Abstract |
我々は原因不明の不妊症女性患者血液のスクリーニングを行い、特異的なヒト精子凝集能を有する抗体を女性患者から分離した。免疫蛍光抗体法と免疫ブロッテング法によりこの抗体と反応するヒト抗原は後アクロゾーム部位に存在する分子量80KDaの精子蛋白であった。ヒト精子蛋白をイムノアフィニテ-カラムを通過させ、結合した蛋白からこの80KDaの蛋白を分離精製した。この蛋白をSDS-PAGEで展開すると80KDaの蛋白以外に18KDaの蛋白を含んでいることが判明した。我々はまたHPLCカラムにより反応陽性蛋白を分離、精製した。溶出された蛋白のピークは80KDaと120KDaと推定された。これらのピークを濃縮してSDS-PAGEで展開すると80KDaと18KDaのバンドが認められた。このことは120KDaの蛋白は還元されて18KDaのバンドに泳動することを意味する。我々が発見したヒト抗精子抗体は免疫蛍光抗体法で射精ブタ精子アクロゾームと強力に反応した。また精巣上体体部と尾部及び精管より得られた精子とも全く同様の反応を示した。ところが、精巣から得られた精細胞及び精子との反応は蛍光抗体法で認められなかった。さらに精巣上体頭部より得られた精子との反応も認められなかった。免疫ブロッティング法によって、この抗体は射精精子、精巣上体体部、尾部および精管より得られた精子蛋白と強力に反応しその分子量はいずれも45KDaであることが判明した。この蛋白は精巣上体内での精子成熟過程に関係し、免疫的不妊症の原因に関係あると思われる。ブタ精子から抗原蛋白を大量に精製してこの蛋白を抗原に用いて数種の陽性ハイブリドーマが得られたので現在、ハイブリドーマのさらなるスクリーニングを試みている。
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