1994 Fiscal Year Annual Research Report
腹圧性尿失禁と生物物理学的特性:膣前壁の強度測定と骨盤底筋群収縮力の評価
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05671311
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
近藤 厚生 名古屋大学, 医学部, 助教授 (30022875)
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Keywords | 腹圧性尿失禁 / 尿線中断 / 骨盤底筋体操 |
Research Abstract |
目的:女性は排尿中に尿線を中断できないと言われている。この仮説を尿失禁患者と尿禁制患者とで調査検討した。 患者と方法:73名の腹圧性尿失禁患者と42名の対照患者(尿禁制)、合計115名の女性で排尿を中断させた。年齢(53歳)、分娩回数(1.9-2.5回)、子宮摘出術をうけた割合(10-14%)など、この2群間の因子に有意差は無かった。排尿は尿流波計(Urodyn 1000,Dantec)の上で行い、患者は排尿中に2-3回、各々3-5秒間中断した。得られた排尿曲線を分析した。 次に骨盤底筋体操を行うと、尿線を中断する能力に変化が生じるか否か検討した。患者は名古屋大学病院泌尿器科において8週間にわたる訓練プログラムに参加した18名の患者である。年齢は35-65歳(平均55)、尿失禁量は0.1-55.2g/h(平均11.5、 60分間パッドテスト)であった。 結果:「尿線を完全に中断」できたのは、患者群が36%(26名)、対照群が76%(32名)であった。この差は統計的に有意であり(p=0.002,Mann-Whitney´s test)、従来からの仮説は正しいと言える。運動療法の治療効果は患者が主観的に評価した。すなわち成功群8名(44%)、失敗群10名(56%)であった。訓練終了時に「尿線を完全に中断」できたのは、成功群5/8(63%)、失敗群5/10(50%)であり、有意差は存在しなかった(p=0.95,カイ2乗検定)。即ち尿線の中断能力は骨盤底筋体操の治療効果と相関しなかった。 結論:尿失禁女性の64%は尿線を途中で中断することが出来ず、骨盤底筋体操の治療効果と尿線の中断能力とは相関しなかった。尿線の中断行為は、骨盤底筋群(主に肛門挙筋と尿道括約筋)の収縮能力を反映すると考えられる。しかし骨盤底筋体操の患者群が示したデータは、尿禁制が圧力伝導率などの多因子により保持されていることを示唆する。
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Research Products
(1 results)