1994 Fiscal Year Annual Research Report
閉塞性無精子症に対する人工精液瘤の検討と回収精子の妊孕能に関する研究
Project/Area Number |
05671342
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Research Institution | TOHO UNIVERSITY SCHOOL OF MEDICINE |
Principal Investigator |
三浦 一陽 東邦大学, 医学部泌尿器科学第一講座, 助教授 (00057697)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松橋 求 東邦大学, 医学部泌尿器科学第一講座, 助手 (30181746)
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Keywords | 閉塞性無精子症 / 精巣上体精子の回収 / hypoosmotic swelling(HOS) test / フローサイトメトリー法 / 共焦点レーザー走査顕微鏡 / ハムスターテスト / 人工精液瘤 |
Research Abstract |
精路の吻合不可能な症例や、精管欠損症のような閉塞性無精子症に対する治療には精巣上体より精子を回収し、ARTを試みる方法しか望みはない。我々は精巣上体に人工精液瘤を造設し精巣上体精子を回収する方法についてはほぼ確立したが、平成5年までに人工授精を行い35例中2例を妊娠出産をみた。平成6年度は更に13例の症例を追加したが妊娠はなく、合計48例中2例という低い妊娠率であった。このため回収した精子がどのような妊孕能を有するかを検討し、すでに平成5年度までに人工精液瘤より回収した精巣上体精子の妊孕能の判定法にはhypoosmotic swelling(HOS)test、共焦点レーザー走査顕微鏡観察とフローサイメトリー法、ハムスターテストを行い、HOS testの膨化率は平均47.6±16.1%で正常群や閉塞症例を除く男性不妊症群に比し有意に低下していた。共焦点レーザー走査顕微鏡では生存・死滅精子や、生存あるいは死滅した先体反応完了精子の状態を、PIとFITC・PSA染色や、PIとFITC・Con A染色で示すことができた。またこのような精子をフローサイメトリーでの百分率による各エリアの精子分布により妊孕能が判定でき、回収した精子の妊孕能の判定に有用な方法であることが確立された。また、ハムスターテストでは受精率は平均8.2±10.0%と正常群とは有意の差をもって低下がみられたが不妊症群とは有意差はない。以上より本法にて回収した精巣上体精子の妊孕能は低く、現在回収精子の顕微授精や体外受精を試みているが5例に受精に成功しているが着床にはいたっていない。この研究は今後の課題であるが、現在では人工精液瘤の材質の改善や造設方法に顕微鏡手術を用いることで回収の改善が行われてきた。また将来の展望としてはフローサイトメトリーの応用により滅菌された状態で生存している先体反応完了精子を選択的に回収することにより妊孕能の高い精巣上体精子の回収も可能になると考えられる。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 松橋求: "ヒト精巣上体精子の妊孕能に関する研究" 日本泌尿器科学会雑誌. 85. 14-16 (1994)
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[Publications] 三浦一陽,白井将文: "男性不妊症" Perinatal care. 14. 16-22 (1995)
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[Publications] 三浦一陽(分担): "アンドロロジーマニュアル(白井将文編)" 新興医学出版社, 258,(35) (1994)