1994 Fiscal Year Annual Research Report
産婦人科領域における副甲状腺ホルモン関連蛋白の役割に関する研究
Project/Area Number |
05671355
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
加藤 賢朗 東京大学, 医学部(分), 講師 (00185878)
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Keywords | PTHrP / 卵巣腫瘍 |
Research Abstract |
PTHrPは悪性腫瘍において高カルシウム(Ca)血症を引き起こす物質として知られているが、高Ca血症を伴わない悪性腫瘍においても産出されていることが知られている。本年度は、、高Ca血症を伴わない卵巣癌組織におけるPTHrPの遺伝子発現、患者血清中および腫瘍内溶液中のPTHrP濃度について検討した。 [方法](1)患者の同意を得て、術前良性卵巣腫瘍(34例)、悪性卵巣腫瘍患者(27例)の血液を採取した。また同様に手術時腫瘍組織(悪性10例、良性5例)、腫瘍内溶液あるいは癌性腹膜炎の腹水(良性-14例、悪性-14例)を採取した。(2)腫瘍組織よりmRNAを抽出しRT-PCRによりPTHrP遺伝子発現を検討した。(3)PTHrP蛋白はC端(109-141)を認識する抗体を用いてRIA(第一ラジオアイソトープ社)により測定した。 [結果](1)RT-PCRを行った悪性10例、良性5例すべての腫瘍組織にPTHrP遺伝子発現が認められた。(2)血清中のPTHrP値は正常コントロール(45例)のM^+2SD,38.5pmol/L以上を高値とすると良性群では5例(16%)に軽度高値例が見られた。一方悪性群では10例(37%)に高値例が見られた。これらの高値例はいずれも術後正常値となった。(3)腫瘍内容液中に、PTHrPは良性、悪性卵巣腫瘍でいずれも検出された。特に500pmol/L以上の高値例は悪性群で5例(35%)良性群では1例(7%)に見られた。 [結論](1)PTHrP遺伝子発現は良性、悪性卵巣腫瘍組織のいずれにも見られた。(2)しかしながら、血清中、腫瘍内容液中のPTHrP濃度の高値例は悪性卵巣腫瘍でより多く見られたこと、また腫瘍摘出後、血清中のPTHrPが正常値となったことより悪性卵巣腫瘍の腫瘍マーカーとして有用であると考えられた。
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