1993 Fiscal Year Annual Research Report
子宮内膜増殖および癌化過程におけるras遺伝子、ras関連蛋白の役割
Project/Area Number |
05671379
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
加藤 聖子 九州大学, 生体防御医学研究所, 助手 (10253527)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
和気 徳夫 九州大学, 生体防御医学研究所, 教授 (50158606)
今村 利朗 九州大学, 生体防御医学研究所, 助手 (10221095)
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Keywords | 子宮内膜癌 / Ras蛋白 / 点突然変異 / EGF / 細胞増殖 |
Research Abstract |
1.子宮内膜癌において、Rasの点突然変異のあるものとないものでは生物学的特性に違いがあるかどうかを調べた。線維芽細胞系でRas蛋白の活性化因子として報告されているEGFを培養液中に添加すると、野性型Ras蛋白を発現している子宮内膜癌細胞株(Ishikawa株)ではEGF刺激依存性にRas蛋白の活性化や細胞増殖促進がみられたが、変異型Ras蛋白を発現している細胞株(HHUA株、HOUA株)ではこの影響はみられず、むしろ細胞増殖は抑制される傾向にあった。この差が変異型Ras蛋白の有無に直接起因しているかどうかを確認するため、野性型及び変異型Ras cDNAをIshikawa株に形質導入したところ、前者ではEGF依存性にRasの活性化や細胞増殖促進がみられたのに対し、後者ではみられなかった。以上より野性型Ras蛋白を発現している子宮内膜癌細胞は変異Ras蛋白を発現している細胞に比べて、外因性因子の影響を受けやすいことが示唆された。上記の結果をふまえ今後は、EGF以外の細胞増殖に影響を与える因子の検索(とくに子宮内膜癌のリスク因子とされるエストロゲンや種々の脂肪酸)を行う。また最近細胞増殖因子を上流シグナルとしRasを介する細胞内情報伝達の経路が明らかになってきているが、前述の各細胞株においてEGF等外因性因子の刺激によりRasの下流に存在する因子がどう変化するかを解析する。2.各子宮内膜癌細胞株においてRas蛋白の負の調節因子とされているGAP(GTPase activating protein)やNeurofibrominの発現をウエスタンブロット法により調べ、発現量に有意差がないことを確認した。今後は、GAPcDNAを細胞株に形質導入し過剰発現させ細胞増殖能を抑制できるかどうかを解析するとともに変異型Ras遺伝子をもつ腫瘍を形成しているトランスジェニックマウスを用い、in vivoでの効果を調べる。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] T.Honda,et al.,: "Involvement of p53 gene mutation in human endometrial carcinomas." International Journal of Cancer.53. 963-967 (1993)
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[Publications] T.Arima,et al.,: "Genetic origin of malignant trophoblastic neoplasms." Cancer Genetics and Cytogenetics,in press.(1994)
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[Publications] S.Miyamoto,et al.,: "Cytoskeletal Changes in Human Endometrial Carcinoma Cells Following Introduction of a Human Chromosome 1 via Microcell Fusion." Molecular Carcinogenesis,. (in press.). (1994)
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[Publications] N.Wake,et al.,: "Accumulation of genetic events in endometrial carcinoma and its cell growth inhibition by antisense oligonucleotide complementary to mutated K-ras gene." Cancer Molecular Biology,. (in press.). (1994)
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[Publications] T.Gima,et al.,: "DCCGene Alteration in Human Endometrial Carcinomas." International Journal of Cancer,. (in press.). (1994)