1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05671387
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Research Institution | NAGOYA CITY UNIVERSITY |
Principal Investigator |
鈴森 薫 名古屋市立大学, 医学部, 助教授 (80117829)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村上 勇 名古屋市立大学, 医学部, 助手 (70239482)
岡田 節男 名古屋市立大学, 医学部, 助手 (90203992)
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Keywords | アンギオテンシノーゲン遺伝子 / ドット ブロット / PIH / Preectampsia |
Research Abstract |
平成5・6年度に行ったstudyにおいて、アンギオテンシノーゲン遺伝子の235番目のアミノ酸の変異(メチオニンからスレオニン)は、妊娠中毒症発症と有意に関連があることが証明された。本年度は、中毒症発症の危険因子として、家族歴と妊娠初期の平均動脈圧(MAP)を取り上げ、これらとこの遺伝子変異との関連を調べ、多因子を組み合わせることにより中毒症発症の予知が可能であるかどうかについて検討した。当科を受診した妊婦のうち、妊娠20週までに高血圧を発症しなかった398例を対象とした。全血2mlを採血、遺伝子DNAを抽出し、同部位のDNA増幅を行って電気泳動で確認後、制限酵素で処理し、電気泳動でbandの違いを検出して遺伝子型を決定した。(メチオニン:M、スレオニン:Tとして、MM、TTの3つの遺伝子型に分類。)家族歴としては、妊婦の両親の高血圧の既往を聴取した。妊娠初期のMAPとしては、妊娠12週以前に受診した際の血圧を測定し、(収縮期血圧+拡張期血圧×2)/3を算出した。これらの症例につき妊娠分娩経過を追跡し、遺伝子型ごとの中毒症発症の有無をprospectiveに観察した。発症者については病型分類を行った。 この結果、中毒症のうち、高血圧のみ発症し、浮腫、蛋白尿を合併しないTransient hypertension(TH)と呼ばれる病型では、TTとの間に有意な関連があることが明らかになった。遺伝子型によって家族歴の有無には有意差はなかったが、TTのうち家族歴を持つ者の中毒症発症率は22.5%と有意に高かった。また、遺伝子型によって妊娠初期のMAPには差を認めなかったが、中毒症発症群は非発症群に比べ、妊娠初期MAPが有意に高いことが明らかになった。 これらのことから、TTの遺伝子型を持つことが、中毒症発症の危険因子の一つと考えられ、これと家族歴、妊娠初期のMAPなど、多因子を組み合わせることにより、病型によっては発症予知の可能性があることが示唆された。
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Research Products
(2 results)