1994 Fiscal Year Annual Research Report
妊卵着床、維持における脱落膜組織由来のサイトカインの役割
Project/Area Number |
05671389
|
Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
梅咲 直彦 大阪市立大学, 医学部, 助教授 (20106339)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤野 祐司 大阪市立大学, 医学部, 講師 (00201749)
萩田 幸雄 大阪市立大学, 医学部, 教授 (00047086)
|
Keywords | サイトカイン / 子宮内膜 / 脱落膜化 / プロラクチン / G-CSF / M-CSF |
Research Abstract |
受精卵(胚)は支給の脱落膜に着床しそこで生育していくが、その初期には脱落膜から、その後絨毛より栄養を取り入れている。我々は妊娠初期脱落膜にはNK細胞やマクロファージなどが多数浸潤しており、その部位での活発なサイトカイン、特にG-CSFの産生を明かとし、それが絨毛の増殖に働いていることを認めてきた。 そこで今回はまず妊娠経過にともなうG-CSFの動態を抹消血レベルで検討した。その結果妊娠とともにG-CSFは有意に上昇が認められた。しかし異常妊娠(胎児発育不全、妊娠中毒症など)との明確な関連は現在のところ見いだされていない。 次いで受精環境および胚の成熟における子宮内膜間質細胞の役割を検討すべく、マウスの体外受精を子宮内膜間質細胞との共培養で行うとともに、胚との共培養を行った。その成績は受精率、および分割率で検討したが、受精率には影響を与えなかったが分割率の亢進が認められた。この内膜間質細胞由来の胚成熟促進因子に関しては現在検討中である。 さらに受精卵の着床の部位である子宮内膜の脱落膜化におよぼすサイトカインの影響につき検討を加えた。用いたサイトカインはG-CSF,N-CSF,GM-CSFなどである。その結果、これらのサイトカインはいずれも問質細胞の増殖に関与していた。特にG-CSFは増殖期から分泌期、さらに黄体ホルモンにて脱落膜化をさせる過程で、細胞の増殖促進に働いた。さらに脱落膜細胞の機能を検討する目的でプロラクチンの分泌能を検討したところG-CSFがプロラクチンの産生も促進した。その結果、脱落膜細胞の増殖、および分化、すなわちプロラクチンの産生にG-CSF、およびM-CSFが重要な役割を発揮していることが判明した。さらにM-CSFに焦点をしぼり、脱落膜細胞におけるM-CSFのreceptorであるc-fmsの発現を免疫組織学的に検討したところ、脱落膜細胞にその発現が認められた。 以上より胚の成熟から、着床、そして胚芽の発育の過程にG-CSFやM-CSFなどのサイトカインが重要な役割を果たしていることが認められた。
|
Research Products
(2 results)