1994 Fiscal Year Annual Research Report
超未熟児・IUGRの臓器別未熟性の基礎的診断と胎外適応能の成熟促進の治療法の開発
Project/Area Number |
05671390
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
島本 郁子 奈良県立医科大学, 医学部, 助教授 (90075094)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
飯岡 秀晃 奈良県立医科大学, 医学部, 講師 (10183154)
斉藤 滋 奈良県立医科大学, 医学部, 講師 (30175351)
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Keywords | IUGR / fetus / new born / growth / placenta / membrane transport / Brush Border / PROM |
Research Abstract |
母体疾患・子宮胎盤機能不全・PROMなどのいわゆる劣化子宮内環境にあっては早産超未熟児・IUGRは胎外生活への早期転換が余儀なく強いられる。この場合、胎児発育の諸段階を理解した胎児(新生児)管理と出生周辺における胎外適応能の人為的急速促進が極めて重要なkeyとなる。一方、胎外生活不能の22週未満胎児に子宮内環境の改善と胎児発育促進のために胎盤物質輸送レセプターの発現機序を解明し、治療を企てている。 (1)臓器生体膜機能の発達過程は成熟の本質的指標となる。人胎児の新生児小腸、腎の刷子縁微絨毛膜(brush border)の解析から発達過程が明らかになり、超未熟児・IUGR児の栄養代謝と腎機能の未熟性を明らかにし、その成熟の促進を企てている。さらに未熟臓器に発症する壊死性腸炎ならびに腎炎の病態像から治療法を企てている。 (2)血液凝固因子(Vitamine K依存凝固因子,血小板凝集能)を測定した結果、早産超未熟児・IUGRの凝固因子ならびに血小板凝集能促進を企てている。さらに未熟臓器に頻発するIVH.SEHの予防と治療法を企てている。 (3)胎児免疫能(特異的、非特異的免疫)を週数別に解明した結果、免疫監視機構の成熟のturning pointを決定して早産超未熟児・IUGR児に認められる易感染性に対して感染防御の対策を作成している。 (4)22週未満胎児治療は子宮内環境を改善し、胎盤機能の促進を計り在胎期間の延長を企てる。糖質、各アミノ酸・脂質の胎盤絨毛上皮におけるグルコーストランスミッター・アミノ酸carrier・LDL receptorの存在と発現機序についてm-RNAのin situ hybridizationにより胎盤輸送能とその調節因子を解析し、治療対策を企てている。
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[Publications] S.Miyagawa,I.Shimamoto,et al.: "Worsening ot systemic lupus erythematosus-associated thrombocytopenia by administration of gonadotropin-reledsing hormone analog" Arthtitis & Rheumatims. 36. 1708-1709 (1994)
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[Publications] 森山郁子: "LDL receptor" 産婦人科の世界. 46. 731-735 (1994)
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[Publications] 一條元彦,森山郁子,他: "妊娠とサイトカイン" 腎と妊娠. 37. 905-910 (1994)
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[Publications] 森山郁子: "妊産褥婦管理の問題点-異常の早期発見と対処のしかた-妊娠後期(1)" 産婦人科の進歩. 46. 244-251 (1994)
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[Publications] 森山郁子: "巨大児と帝王切開-巨大児の肩甲難産と分娩損傷はさけれるか-" 産婦人科の実際. 43. 585-588 (1994)
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[Publications] 森山郁子: "胎児発育に影響を及ぼす病的因子" 周産期医学. 24. 485-489 (1994)
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[Publications] 森山郁子: "わが教室における「肥満とやせ」対策" 産婦人科の治療. 68. 901-904 (1994)
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[Publications] 飯岡秀晃,森山郁子他: "HELLP症候群におけるヒト肝細胞増殖因子(hHGF)の動態" 産婦人科の進歩. 46. 55-56 (1994)
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[Publications] 森山郁子: "胎児の発育と成熟" 臨床婦人科産科. 48. 282-284 (1994)
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[Publications] 森山郁子: "IUGR(胎児発育遅延)の診断と治療" 産婦人科の治療. 68. 528-533 (1994)
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[Publications] 赤田 忍,森山郁子他: "ヒト胎盤絨毛上皮刷子縁膜の血小板凝集阻止活性-妊娠経過による阻止活性の変化について-" 日本産婦人科・新生児血液学会. 4. 21-22 (1994)
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[Publications] "胎盤の血液凝固学的機能-ヒト胎盤絨毛の抗トロンビン活性-" 日本産婦人科・新生児血液学会. 4. 25-26 (1994)
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[Publications] 吉田剛祥,森山郁子他: "ヒト胎盤における血小板凝集阻止活性の研究-絨毛組織のADP分解活性の特性-" 日本産婦人科・新生児血液学会. 4. 23-24 (1994)
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[Publications] 下山丈人,森山郁子他: "肝細胞移植と遺伝子治療への応用を目ざした胎盤並びに臍帯血幹細胞採取" 日本産婦人科・新生児血液学会. 4. 83-84 (1994)
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[Publications] 石原由紀,森山郁子: "IUGRの胎児モニタリング" ペリネイタルケア. 13. 164-169 (1994)
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[Publications] 森山郁子: "中・高年婦人の高脂血の診断と治療法" 日本産婦人科学会誌. 46. N219-222 (1994)
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[Publications] 森山郁子(分担): "今日の治療指針" 医学書院, 1 (1994)
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[Publications] 森山郁子(分担): "周産期の感染と免疫" 南光堂, 18 (1994)
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[Publications] 森山郁子(分担): "周産期医学" 金原出版社, 5 (1994)