1994 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト子宮内膜細胞の増殖・分化と核構造の関連に関する研究
Project/Area Number |
05671393
|
Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
利部 輝雄 岩手医科大学, 医学部, 教授 (70048304)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 昌之 岩手医科大学, 医学部, 助手 (20183387)
松田 壮正 岩手医科大学, 医学部, 講師 (40157326)
|
Keywords | 核小体形成体領域 / 子宮内膜 / 子宮内膜増殖症 / 子宮内膜癌 / FISH / 細胞遺伝子 |
Research Abstract |
I.子宮内膜腫瘍のAgNORs所見:ヒト子宮内膜には、前癌病変としての子宮内膜増殖症、即ち嚢胞性腺増殖症、腺腫性増殖症、異形増殖症があり、悪性腫瘍の代表として腺癌がある。これらの増殖性病変と核小体形成体領域(Nucleolar Organizer Regions-NORs)との関連性を検討し、以下の成績を得た。 【研究対象】子宮摘除をうけた婦人の子宮内膜が子宮内膜増殖症および子宮内膜癌であった症例の子宮内膜62例を収集した。 【研究方法】収集した子宮内膜を20%中性ホルマリンにて固定後、通常の方法でパラフィン包埋を行い、1例につき3μmの連続切片を5枚ずつ作製した。切片の2枚を通常のヘマトキシリン・エオジン(HE)染色、他の2枚をCrockerの原法に従ってAgNOR法により染色した。通常のHE標本にて子宮内膜の組織診を行った。AgNOR染色標本では1例400個の子宮内膜腺細胞の核についてNOR数をかぞえた。 【研究成績】子宮内膜組織のAgNOR染色所見:子宮内膜腺細胞の核は黄色に染色され、細胞質は染色されないか、または淡黄色に染色される、核内のNORsは径0.9〜5.2μmの点状または円〜楕円形の黒色または暗褐色の領域として観察される。その数を子宮内膜の病変ごとにみると、嚢胞性腺増殖症3.3±0.81、腺腫性増殖症3.6±1.13、異型増殖症3.8±1.23、子宮内膜型腺癌G1;3.9±1.44、同G2;4.6±1.52、同G3;5.4±1.72であった。これらのうち正常子宮内膜増殖期後期のNORs数2.9±0.84に比して有意にNORsの増加をみたのは異型増殖症、子宮内膜型腺癌であった。 【結論】子宮内膜腺細胞核のNORs数は悪性病変で有意に増加し、診断の指標となりうる。 II.Fluorescent In Situ Hybridization(FISH)の基礎的検討:NORは放射線同位元素標識rRNAを用いたIn Situ Hybridization法によりヒトの第13、14、15、21、22番の染色体の短腕に存在することが知られている。そこで、間期核を対象に放射線同位元素を用いず、蛍光色素を用いて、目的とする染色体の存否、異常の程度を検出可能なFISHにつき検討し、その有用性を明らかにした(日本臨床細胞学会雑誌第33巻第4号、650〜656)。
|
Research Products
(2 results)
-
[Publications] 松田壮正,松田真弓,工藤里美,山田智恵子,川村知正,針生秀樹,井筒俊彦,利部輝雄: "蛍光色素直接標識プローブによる迅速間期細胞遺伝学的診断" 日本臨床細胞学会雑誌. 33. 650-656 (1994)
-
[Publications] T.KAGABU,M.SATOH,T.SHOJI,K.MURAKAMI,I.NISHIYA: "Proliferative activity of human endometrial epithelial cells and nudeolar organizer regions in normal and patholofical conditims" Proceeding of the XVI International cancer congress. 3. 2329-2332 (1994)