1994 Fiscal Year Annual Research Report
胎児外科的に作製された無嗅脳症マウスの脳形態形成異常
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05671410
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Research Institution | Institute for Developmental Research, Aichi Human Service Center |
Principal Investigator |
成瀬 一郎 愛知県心身障害者コロニー発達障害研究所, 形態学部, 室長 (20113326)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
慶野 裕美 発達障害研究所, 形態学部, 技術専門員
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Keywords | 無嗅脳症 / 子宮切開法 / レーザーサージェリー / アポトーシス |
Research Abstract |
無嗅脳症では、しばしば嗅球欠損に伴って脳梁欠損や水頭症が合併することが報告されてきた。また、我々が系統維持している遺伝性無嗅脳症/多指症マウス(Pdn/Pdn)でも嗅球欠損のほか、脳梁欠損、前交連欠損、水頭症を表わす。そこで、嗅球が欠損することと他の脳の異常が独立して起きるものではなく、なんらかのシークエンスを持っているのではないかと考えてきた。 嗅球に層構造を構築する僧帽細胞は、嗅神経の支配を受ける。Pdn/Pdnマウスでは、嗅神経線維が中枢神経系に接着せず、嗅球が欠損している。従って、僧帽細胞が欠損し、さらに嗅皮質である梨状葉皮質も欠損している。そこで、本年度は、嗅球欠損に伴って、僧帽細胞がどこへ行ったかを調べた結果、胎生14日には僧帽細胞と、その神経支配を受ける梨状葉皮質の細胞がアポトーシスを起こしていることが判明した。このことを、さらに実験的に調べるために、胎生13日の正常マウス胎仔の嗅球原基をレーザー光で破壊し、無嗅脳症にすると、胎生14日の梨状葉皮質にアポトーシス細胞が認められた。さらに、片側の嗅球だけを破壊すると、胎生18日の胎仔では、嗅球の残っている側の梨状葉皮質は形成されていたが、嗅球が欠損した側の梨状葉皮質は欠損していた。以上のことと、昨年度までの研究結果から、嗅神経線維が終脳に接着しないことが嗅球欠損を惹起し、この嗅球欠損が脳梁欠損や前交連の異常を惹起する。さらに、嗅神神経の支配を失った嗅球の僧帽細胞はアポトーシスを起こし、嗅球の僧帽細胞の神経支配を失うと梨状葉皮質は形成されないという発症シークエンスが証明された。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] Naruse I.& Keino H.: "Induction of agenesis of the corpus callosum by the destruction of anlage of the olfactory bulb using fetal laser surgery exo utero in mice." Davelap mental Brain Research. 71. 69-74 (1993)
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[Publications] Keino H.,Masaki S.,Kawarada Y.& Naruse I.: "Aoptotic degenaration in the arhinen cephalic brain of the mosue mutant Pdn/Pdn." Developmental Brain Research. 78. 161-168 (1994)
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[Publications] Naruse I.,Keino H. & Kawarda Y.: "Antibody against single-stranded DNA detects both programmed cell death and drug-induced apoptosis." Histochemistry. 101. 73-78 (1994)
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[Publications] Naruse I.,Fukui Y.,Keino H.& Taniguchi M.: "The arrest of luteinizing hormone-releasing hormone neuronal migration in the genetic arhinencephalic mouse embryo(Pdn/Pdn)." Developmental Brain Research. 81. 178-184 (1994)
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[Publications] Naruse I.,Keino H.,Tainguchi M.&Masaki S.: "The role of apoptosis in the manifestation of polydactyly and arhinencephaly in genetic mutant mouse Pdn/Pdn." Congenital Anomalies. 34. 321-328 (1994)
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[Publications] Naruse I.,Sato A.,Keino H.,Taniguchi M.& Yasuda M.: "Induction of arhinencephaly using fetal laser surgery exo utero in mice." Neuroscience Protocols. (in press). (1995)
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[Publications] 成瀬一郎: "分子病理学-疾病の分子機構-" 杉山武敏編,文光堂, 589 (1993)
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[Publications] 成瀬一郎: "臨床医のための医学発生学" 阿部敏明,倉繁隆信編,診断と治療社, 339 (1994)