1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05671427
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
内藤 泰 京都大学, 医学部, 講師 (70217628)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
辻 純 京都大学, 医学部, 助手 (30252448)
伊藤 寿一 大津赤十字病院, 耳鼻科部長 (90176339)
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Keywords | 耳石系遠心性 / 求心性ニューロン / 前庭神経活動 / 平衡斑感覚上皮 / 内耳道内前庭神経 / 神経標識物質 |
Research Abstract |
耳石系は平衡機能に極めて重要な役割を果たしているが、その機能の詳細については未だ不明の点が多い。本研究では、1)求心性及び遠心性耳石系ニューロンの内耳と脳幹部での詳細な局在を明らかにする。2)これに基づいて耳石系神経路の前庭神経活動に及ぼす影響を電気生理学的に評価する。さらに3)cytochromeoxidase染色を用いた組織化学的方法により遠心性及び求心性ニューロン相互の影響を神経細胞の代謝と形態的側面から分析する事を企図している。以上の計画に基づいて研究をすすめ、平成5年度には以下の実績が得られた。 (1)遠心性及び求心性耳石系ニューロンの内耳と脳幹部での局在を分析した。チンチラの平衡斑感覚上皮を浅く損傷し、biocytin液を内耳に注入し一定の生存期間の後に動物を灌流固定し、内耳道内前庭神経と脳幹の凍結切片を作成してDAB法で発色させた。また、対照として半規管系についても同様の標識実験を行なった。この研究により求心性耳石系ニューロンの内耳と脳幹部での詳細な局在が明らかになり、耳石系遠心性ニューロンの分布と形態の多様性が確認された。(2)前庭神経節のcytochromeoxidaseを指標にした神経細胞の代謝の観察を行い、大型細胞が代謝が低く、小型細胞が代謝が高い事が分かった。これらより、大型細胞がphasicな、そして小型細胞がtonicな機能を分担しているものと推測された。 当初の計画はほぼ達成され、次年度に予定していたcytochromeoxidase染色を用いた神経細胞の代謝の研究も一部行うことができた。この際、遠心路の形態的研究は神経標識物質(biocytin)の生体内での動態が必ずしも一定しておらず、より信頼性の高い結果を得るためには、さらに追加研究が望ましいと考えられた。感覚上皮の損傷を全体にするか、phasicな成分の多い中心部分、或はtonicな成分の多い辺縁部分にするかによって各々に対応する求心性及び遠心性ニューロンを個別にラベルする研究についてはラベルの選択性に問題があり、引続き検討を要する。
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Research Products
(1 results)