1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05671430
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
小池 靖夫 徳島大学, 医学部, 教授 (30026918)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石谷 保夫 徳島大学, 医学部・附属病院, 講師 (00159724)
大山 玄 徳島大学, 医学部, 講師 (00223975)
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Keywords | 後迷路難聴 / 合成語音 / 語音聴力検査 |
Research Abstract |
PDP-11/23電子計算機の制御のもとに音声合成装置DECtalkを駆動し、日本聴覚医学会制定の57式語音表収載の日本語語音を合成した。またソフトウエアILSに含まれている楕円フィルタを用い、周波数歪みを加えた歪み語音列を作成した。一方、耳鼻咽喉科外来において聴力検査を施行した患者のうちから、脳腫瘍、脳梗塞その他の原因による後迷路難聴をもつ症例を選び、頭部CTならびに頭部MRI画像を集め、画像データベースを作成した。これらの症例につき上記合成語音による語音聴力検査を施行した。また詳細な病歴を聴取し、聴力検査成績と病歴から成るテキストデータベースを作成した。このテキストデータベースと画像データベースを組み合わせ、複合データベースとした。 合成語音による語音聴力検査を健常被験者に施行したところ、肉声による語音聴力検査とほぼ同等の成績が得られ、合成語音による語音聴力検査は臨床応用が充分可能であると考えられた。老人性難聴群では語音聴力検査の成績に大きなばらつきが見られ、難聴の原因が多岐にわたることがうかがわれた。また刺激語音の間隔を短くすると、短音節聴取率が低下する傾向がみられた。 脳腫瘍など、頭蓋内病変をもつ症例では、最高語音明瞭度が低下しており、この傾向は肉声よりも、合成語音の方が著明であった。また鼻子音(/m/、/n/)を含む音節の明瞭度が低い傾向があった。しかし、合成語音聴力検査の成績には、頭蓋内病変の種類に応じた著明な差はみとめられなかった。合成語音による語音聴力検査は、他の診断法と組み合わせて用いるならば、後迷路難聴の鑑別のために有用であると思われた。
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