1994 Fiscal Year Annual Research Report
低周波バイアス音を利用した蝸牛内リンパ水腫診断法の実験的、臨床的研究
Project/Area Number |
05671435
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Research Institution | 宮崎医科大学 |
Principal Investigator |
東野 哲也 宮崎医科大学, 医学部, 講師 (80145424)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮永 敏 宮崎医科大学, 医学部, 助手 (60200193)
笠野 藤彦 宮崎医科大学, 医学部, 助手 (30169403)
松浦 宏司 宮崎医科大学, 医学部, 助手 (50173795)
牛迫 泰明 宮崎医科大学, 医学部, 助手 (10185001)
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Keywords | 聴覚 / 誘発電位 / 蝸電図 / 内リンパ水腫 |
Research Abstract |
これまで低周波バイアスの実験にはモルモットのみを使用してきた。しかしモルモットとヒトの蝸牛形態には大きな差が存在する。蝸牛孔の大きさと蝸牛回転数において、よりヒトの蝸牛形態に類似するチンチラを用いて同一のバイアス実験を行い、モルモットの結果と比較した。両動物における低周波CMの特性の差に伴ってバイアス効果においても種差が認められた。この結果より低周波バイアス法の臨床応用には、バイアス音とテスト音の周波数と音圧を如何に組み合わせるか重要な要因と考えられた。 また内リンパ水腫病態と関係の深い外リンパ瘻モデルを用いて以下のような結果を得た。実験的に作成した蝸牛窓膜穿孔のみでは蝸牛機能の障害は極めて小さいが、外リンパ吸引により種々の程度の蝸牛障害が生じる。この障害程度はモルモットよりチンチラの方が大きく、蝸牛の受傷性に種差があることが示唆された。また、モルモットにおける蝸牛障害のメカニズム解明のため蝸牛窓膜穿孔後の外リンパのアミノ酸分析を行った結果、蝸牛基底部の外リンパアミノ酸濃度の変化が高周波域障害の原因の一つであることが示唆された。 臨床的には、鼓膜蝸電図を用いて極性別クリック音刺激による反応波形の差を検討した。内リンパ水腫側でAP潜時の差が増大するであろうと予測したが、低音障害型よりむしろ高音域障害型感音難聴症例の方が潜時差が大であった。したがってこの方法は低周波バイアス法よりも手技的には簡単ではあるが、内リンパ水腫の診断法としては価値が低いものと結論した。
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[Publications] 松浦宏司: "極性別Click刺激による鼓膜蝸電図" AUDIOLOGY JAPAN. 37. 669-670 (1994)
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[Publications] 東野哲也: "実験的外リンパ瘻による蝸牛障害の種差について" Otol Jpn. 5(予定). (1995)
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[Publications] 植木義裕: "血管拡張剤蝸牛窓投与時の蝸牛血流の変化" Otol Jpn. 4. 247-252 (1994)
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[Publications] Atsushi Haruta: "Effects of experimental round window membrane Laceration on the free amino acid profile of perilymph" Acta Otolaryngol(Stockh). 115(予定). (1995)
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[Publications] Tetsuya Tono: "Low-frequency biasing of round window responses in guinea pigs and chinchillas" Audiology. 974(予定). (1995)