1993 Fiscal Year Annual Research Report
実験的自己免疫性涙腺炎の発症機構に関する免疫学的研究
Project/Area Number |
05671453
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
田川 義継 北海道大学, 医学部, 助教授 (40109426)
|
Keywords | 実験的自己免疫性涙腺炎 / SJL / Jマウス / Tリンパ球 / ヘルパーT細胞 |
Research Abstract |
本研究では、マウスを用い自己免疫性涙腺炎の実験モデルを作製し、涙腺炎の発症機構を免疫学的および免疫遺伝学的立場から解明し、涙腺破壊の免疫病態を明らかにし、さらにこの動物実験モデルを用いて、治療法の検討を行うことを目的とした。本年度の研究により、SJLマウスを用いて臓器特異的涙腺炎を作成すること、および涙腺浸潤リンパ球のsubsetについて検討した。以下、研究実績の概要を述べる。実験動物にSJL/Jマウスの6〜8週齢の雌を用いた。涙腺抗原としてウシ涙腺から抽出、精製したLG-Ag-45Kをもちいた。涙腺抗原(100μg)をcomplete Freund adjuvantと1:1に混合し、マウスに免疫した。免疫後30日および40日後に眼窩外涙腺を摘出し、組織学的に検討し、同時に摘出組織を液体窒素で凍結し、クライオスタットにて切片を作成、以下の抗マウスTリンパ球抗体を用いて免疫組織化学的に浸潤Tリンパ球のsubsetについて検討した。抗体として、(1)抗Thy-1(pan T cell)(2)抗L3T4(helper T cell)(3)抗Lyt-2(suppressor/cytotoxic T cell)を用いた。その結果、1)免疫30日後の涙腺に、導管周囲を中心に強い単核球の浸潤部位がみられた。一部の腺房中にも単核球の浸潤がみられ、腺房が破壊されている所見も観察された。浸潤細胞のみられない部位では、正常の腺房構造がたもたれていた。浸潤リンパ球の多くはThy-1陽性のT細胞で、L3T4陽性のヘルパーT細胞がLyt-2陽性のsuppressor/cytotoxic T細胞よりも多くみられた。2)免疫40日後の涙腺においても、30日の所見と同様に涙腺組織中に単核球を主体とする細胞浸潤を示す部位がみられた。以上の実験結果から、ウシ涙腺由来のLG-Ag抗原を用いたSJLマウスにおける涙腺炎は、自己免疫性涙腺炎の実験動物モデルとして有用と考えられた。その発症にはTリンパ球、特にhelper T細胞が重要であることを明らかにすることが出来た。
|