1993 Fiscal Year Annual Research Report
網膜変性症の発現・進行に関与する複合糖質の分子細胞生物学的研究
Project/Area Number |
05671470
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
上原 文行 鹿児島大学, 医学部, 助教授 (30168653)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鮫島 宗文 鹿児島大学, 医学部, 助手 (80041333)
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Keywords | 網膜変性症 / 複合糖質 / 分子細胞生物学 |
Research Abstract |
●実験的視細胞変性網膜、および遺伝性視細胞変性網膜における複合糖質異常の解析:視細胞変性の進行過程におけるalpha2,6-sialyltransferase、およびペリフエ リン遺伝子の発現の変化について、in situ hybridization組織化学的に解析した。小麦胚芽レクチン、neuraminidaseの網膜下腔、硝子体内注入、あるいは持続性の光照射によつて、急速に進行する視細胞変性が引き起こされたが、それに先行して上記の遺伝子の発現が急速に消失することを明らかにした。一方、視細胞変性が緩徐に進行する遺伝性の網膜変性(nr,pcd)マウスの視細胞では、上記の遺伝子発現が緩徐に減少することを明らかにした。以上より、視細胞変性に先行して、ペリフエ リンなどのN-グリコシド結合型の複合糖質異常がおこることが判明した。 ●リボソーム形態と遺伝子発現の関係の解明:視細胞変性過程、および明・暗順応状態における視細胞内節部リボソームの形態を、電子顕微鏡的に検索するとともに、それに対応する網膜のペリフエリン遺伝子発現についてin situ hybridization組織化学的に検索し、比較検討したところ、活性型のリボソームは均一に分散した分布形態をとるのに対し、不活性型のリボソームはまず集簇し、次に不規則に分散する分布形態をとることを明らかにした。視細胞の変性過程においては、視細胞の形態異常に先行して、視細胞内節に分布するリボソームそのものが不活性型となり、複数の遺伝子の発現が抑制される可能性が示唆された。 ●遺伝子ターゲッテイング法を用いた解析:ラットのalpha2,6-sialyltransferaseのcDNAのBam H1-Bg1 II断片をプローブとして用い、マウスのゲノムライブラリーから、マウスのalpha2,6-sialyltransferaseのゲノムDNAを分離した。次年度に遺伝子ターゲッテイング法に用いる予定である。
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