1993 Fiscal Year Annual Research Report
角膜の損傷治癒過程に出現する筋繊維芽細胞の動態と役割についての実験的研究
Project/Area Number |
05671481
|
Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
石崎 正通 日本医科大学, 医学部, 講師 (40096954)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
雑賀 寿和 日本医科大学, 医学部, 講師 (30153779)
|
Keywords | 角膜 / 創傷治癒 / 筋繊維芽細胞 / アポトーシス / コラーゲン / MMP / TIMP / in situ hybridization |
Research Abstract |
私達は既に角膜の損傷治癒過程において、角膜固有細胞が筋繊維芽細胞に変化し治癒に参加している事を明らかにした。今回、これを元にして、本研究費の補助を受け、角膜における筋繊維芽細胞の動態と役割について研究を行い、以下の様な結果を明らかにした。 1.alpha-smooth muscle actin陽性の筋繊維芽細胞は、損傷3日目頃より出現し、その後、損傷部位の縮小に伴い消失した。 2.筋繊維芽細胞の消失には、アポトーシスが関与していることが電子顕微鏡的及び3'-end labelingを用いた分子生物学的手段によって形態学的に確認された。 3.筋繊維芽細胞は、collagen TypeIの他にTypeIII、TypeIVの合成を行っていることが免疫組織学的及びin situ hybridizationによって明らかになった。 4.筋繊維芽細胞には、間質型コラゲナーゼである、MMP-1,MMP-2,MMP-9が存在することが、免疫組織学的に認められた。 5.さらに、これらのMMP familyの働きを阻害する他多彩な機能を持つことが明らかになっているTIMP-2の存在も認められた。 角膜創傷治癒機転に出現する、固有細胞を起源とする筋繊維芽細胞は様々な機能を持つことが明らかになった。特に活発にcollagenの合成を行う一方でMMP familyの合成も同時に行い、角膜固有層のremodelingに重要な働きを示すことが示唆された。今後これを機会にさらに研究を進めたい。Type-IX collagenの創傷治癒過程によっておける出現については、cDNAがマウスのため、現在マウスに角膜損傷を作る手技確立の基礎的な実験を行っている。今後これについても研究を継続する予定である。本研究は、1993年米国でのARVO meeting及び顕微鏡学会(MAS)、日本病理学会(1994)で報告した。現在、当研究に関する論文を投稿中である。
|