1993 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト・ブタにおける鎖肛・横隔膜ヘルニアとHLAについて
Project/Area Number |
05671488
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
堀 哲夫 筑波大学, 臨床医学系, 講師 (80173615)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大川 治夫 筑波大学, 臨床医学系, 教授 (30009667)
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Keywords | 鎖肛 / 横隔膜ヘルニア / ブタ / HLA / 疾患関連遺伝子 / ヒト |
Research Abstract |
鎖肛ブタ・横隔膜ヘルニアを発症するブタ家系の維持と管理を続けている。本年度は鎖肛ブタ家系の出産が20回あり、このうち約60%は鎖肛であった。近親交配のためか死産が多くなった。口蓋裂、下肢欠損、合指症を合併する多発奇形症候群の出現も見た。血液採取、脾臓摘出保存を各出産ごとに行い検体は凍結保存している。生存可能例の鎖肛については10例に根治手術を施行した。 兄弟発症の横隔膜ヘルニアの両親のHLA検査ではA24,B7,Cw7を父母に認めた。兄弟患児については、ホルマリン固定の脾臓よりDNAを抽出してPCR法で検出を試みているところである。ヒト散発例横隔膜ヘルニアではA31,B52,Cw3,DR4を2例で共通抗原として認めた。疾患に連鎖する抗原はまだ検出されていない。我々が維持している横隔膜ヘルニアのブタの家系図による解析では2つの常染色体遺伝子が関与していることが明らかにされた。 12例の鎖肛患児のHLAの血清学的タイピングではA24,Bw52,Bw60,DR1,2が高頻度に出現する傾向にあった。兄弟発症例では発症した兄弟に父由来の共通したハプロタイプA24,BW62,CW3,DR2を認めた。Smitest HLA-DR遺伝子グループ判定キットによりブタでは、プライマーMP1,MP4,MP5,MP6,MP7にて、各51,57,70,72,64bpのバンドが確認された。ヒトプライマーを用いたHLA-DNAタイピング(PCR-RFLP法)ではブタにおいても個体差が出現しRFLPのマーカーとなりうることが判明した。近傍に連鎖する疾患関連遺伝子が存在すれば、家系図とともに解析することにより、近い将来疾患関連遺伝子を決定できると考えられる。
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[Publications] 大川治夫: "直腸肛門奇形" 日本医事新報. 3606. 37-40 (1993)
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[Publications] H.Ohkawa: "Familial Congenital Diaphragmatic Hernia in the Pig-Studies on Pathology & Heredity" Eur J Pediatr Surg. 3. 67-71 (1993)
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[Publications] K.Ikebukuro: "Three-dimensional analysis of anorectal embryology" Pediatr Surg Int. 9. 2-7 (1994)
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[Publications] 堀哲夫: "直腸肛門奇形とHLAについて" 日本小児外科学会雑誌. 29. 732 (1993)
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[Publications] 大川治夫: "先天性横隔膜ヘルニア" 日本医事新報. (投稿予定). (1994)
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[Publications] 堀哲夫: "生体肝移植マニュアル" 生体肝移植シミュレーションとしての動物実験 2.ブタ, 11 (1993)