1993 Fiscal Year Annual Research Report
膵胆管合流異常の胆嚢粘膜に及ぼす影響についての研究
Project/Area Number |
05671489
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
梅田 隆司 名古屋大学, 医学部, 助手 (10242877)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平岩 克正 名古屋大学, 医学部, 医員
伊藤 喬廣 名古屋大学, 医学部, 教授 (10022899)
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Keywords | 膵胆管合流異常 / 胆嚢癌 / 免疫組織化学 / PCNA / 細胞動態 / 細胞骨格 |
Research Abstract |
膵胆管合流異常は日本人に特別に多くみられる膵管と胆管との奇形であり,特に,胆管の拡張を伴わない膵胆管合流異常は胆嚢癌の発生率が高率であるために,早期の治療と共に,癌化に至るメカニズムに対する解明が急がれる。われわれはネコを用いた胆管拡張を伴わない膵胆管合流異常モデルを作製しているので,この実験モデルを用いて,膵液の胆嚢内逆流が胆嚢粘膜に及ぼす影響を検索することによって,膵胆管合流異常が胆嚢上皮の変性をもたらす機序を解明することを第1の研究目的とした。体重3.5〜5.0kgのネコを用い全身麻酔下に開腹し膵管と総胆管をmicro surgeryの手技を用いて側々吻合して合流異常を作製した。胆管剥離のみを行った群を対照とした。術後半年以上経過したモデルと対照の胆道上皮をPCNA(Proliferating Cell Nuclear Antigen)と細胞骨格に対する免疫組織染色を施行し,胆道上皮における細胞動態と細胞異型を検討した。結果以下の知見が得られた。即ち,膵液の胆嚢内への逆流により,胆嚢上皮粘膜は著しい細胞動態の亢進を示し,これは慢性炎症とは関わりのない機序で起きていることが確認された。形態的には胆嚢上皮の過形成がこの結果生じることが示された。細胞動態の亢進は胆嚢上皮だけでなく,程度は若干低いが,総胆管上皮にも生じていることが示された。総胆管上皮ではこの結果,多数の粘液腺が形成されてくることが示された。胆嚢上皮の細胞骨格はαtubulinに対するモノクローナル抗体を用いた限りでは膵胆管合流異常モデルと対照で有意な差は得られなかった。膵胆管合流異常における胆嚢上皮の癌化において細胞動態を亢進させるメカニズムが重要であることが示された。
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