1993 Fiscal Year Annual Research Report
細胞骨格蛋白とインスリン様増殖因子IIが神経芽腫の浸潤性に与える影響に関する研究
Project/Area Number |
05671496
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
財前 善雄 九州大学, 医学部, 講師 (50221289)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水田 祥代 九州大学, 医学部, 教授 (30038856)
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Keywords | 神経芽腫 / 細胞骨格蛋白 / インスリン様増殖因子II / 浸潤性 / レチノイン酸 |
Research Abstract |
Insulin-like growth factor II(IGF-II)は、成長因子の一つであり、in vivo及びin vitroにおいて、神経細胞の神経突起の伸長を促し、神経回路網の形成に大きな役割を担っていると考えられている。また、Retinoic acid(RA)は神経芽腫細胞の増殖を抑制し、やはり神経突起の伸長を促す。そこで、RAの神経芽腫細胞に及ぼす影響のメカニズムを明らかにするため、RAによるIGF-II遺伝子の発現の調節について検討した。 神経芽腫細胞はSK-N-SHを用い、10%FCSを混じたRPMI 1640、5%CO_2 下に培養した。RAを処理後、あるいは未処理でTotal RNAを抽出し、さらに、poly A selection をかけ、IGF-IIに対するprobeを用い、Northern blottinngを行った。 1x10^<-6>MのRAを処理した時、神経突起を有する細胞の割合は経日的に増加し、細胞間の神経ネットワークもより顕著になってきた。SK-N-SHには通常IGF-IIのmRNAはほとんど認められないが、1x10^<-6>のRAを3日間処理すると、明瞭にIGF-IIのmRNAが認められるようになった。6.0kbでは25倍、4.8kbでは19倍、2.2kbでは21倍、1.9kbでは23倍となっていた。このようなIGF-II mRNAはRA処理後12時間で出現し始め、2-4日でpeakに達する。RAによるIGF-IIのmRNAの増加はdose dependent であった。1x10^<-6>-10^<-5>の濃度でRAを処理した時が最も増加が著しかった。 RAは神経芽腫細胞の分化を促すが、そのメカニズムにはまだ不明の部分が多い。しかし、RAはRA receptorを介して、直接的に神経芽腫細胞に作用を及ぼす経路以外に、IGF-IImRNAを介して間接的に作用を及ぼす経路もあることが示唆された。
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